■はじめに
最近はスマホやタブレット、パソコンで初めてアプリケーションを使うときでも、マニュアルを参照する機会ってほとんどなくなったと思いませんか?特にゲームとかSNSとかのコンシューマアプリケーションは直感的に操作できるものがほとんどです。
ビジネスアプリケーションでも、最近のシステムではこのような直感的に利用できるUIを取り入れているシステムが増えてきました。
このようなアプリをコンシューマーグレードアプリなどと言うことがありますが、エンタープライズシステムにおいても、このようなコンシューマグレードのUIを持ったアプリケーションの必要性はより増してきます。
その最先端をいっている企業の1社が、Appleです。Appleは実は企業(エンタープライズ領域)に対しても、iPhoneやiPadといったスマートデバイスを活用したUXからの顧客の課題解決を手がける世界TopのUX Innovation Officerです。
そんなAppleとバックエンドの業務プロセスから顧客の課題を解決する真逆のアプローチを取っているのが、世界TopのBusiness Process Innovation Officer であるSAPです。
真逆な2社ですが、実は2016年からビジネスパートナーとしてグローバルで協業を開始しています。
フロントとバックエンド両面から顧客のビジネスイノベーションを支援する最強タッグです。
例えるなら、ブルーザー・ブロディとスタン・ハンセンのタッグ The Miracle Power Combinationを彷彿させるような(笑)、そんな破壊力が期待できます!
■なぜモバイルやコンシューマグレードアプリケーションが必要なのか?
インターネットやそれを利用するデバイスやそれを利用したサービスが普及した今、地球上のどこからでもビジネスを行うことができるようになりました。皆さんの会社や周りの企業でも、働き方改革としてのリモートワークやシェアオフィスなどよりモバイルへの依存度が増してきているのを感じていらっしゃると思います。
事実、多くのコンサル会社やリサーチ会社の未来予測でもエンタープライズにおけるモバイル活用がより加速していくことを示唆しています。
82% of executive believe ‘Mobile is the Face of Digital Transformation *
87% of executives believe mobile apps are necessary to realize the full benefits of Digital**
62% of employees delay completing tasks that require logging into multiple systems ***
70% of enterprise system access via Mobile by 2022****
* Forrester Research
** Growing the Digital Business: Spotlight on Mobile Apps Accenture Mobility Research 2015; Copyright © 2015 Accenture All rights reserved
*** Accelerate Digital Transformation With Simplified Business Apps, Forrester August 2016
**** Gartner prediction
■SAPではどうなの?
SAPでもこのUI改善・UX向上は大変重要な課題として取り組んでいます。
多くのSAPユーザーがご存知のSAP_GUIからの脱却です。よく使い慣れた一部のバックオフィス系スタッフのみなさんは一画面に全てが収まり、Tabキーで入力項目を移動できるこの画面はとても慣れ親しんだ使いやすいものかもしれませんが、これからこのシステムを利用しようとする人間は、利用者の皆さんが過去の経験したのと同じように、このシステムの使い方をキャッチアップするのに多くの時間を使うことになるのです。
■インテリジェントエンタープライズ時代の新しいフロントアプリケーションのあり方
みなさんはインテリジェントエンタープライズと言うコンセプトをどのように取られていらっしゃるでしょうか?
SAPでは、FIORIというSAP GUIに変わる、次世代UIを提供してきましたが、インテリジェントエンタープライズの時代におけるUIはもう一歩先を見る必要があると私は考えています。
企業及びその顧客や協力会社など企業全体の業務を担う人たちに対して、必要な人に必要な情報を必要な時に提供するリアルタイムかつオープンなシステムが求められていると思うからです。
そのためには利用者にとって平易で効果的なアプリケーションである必要があります。
たとえば、保守メンテナンススタッフ用のアプリケーションをイメージすると、タッチIDやFaceIDでログイン、アプリにはその日の作業タスクやスケジュールが表示され、タスクの一つをクリックして詳細を確認すると訪問先の対象機器の情報や訪問先住所を地図でナビデート、その日の作業に必要なパーツもリコメンドをしてくれる。現場から故障箇所の画像を撮ると、部品の名称や分解方法などを3次元画像で表示、ガイドしてくれる。
原因が特定できない、専門家の意見を聞きたい時には、システムからFaceTimeを呼び出して直接現場の状態を動画で確認したりしながら支援をもらえる。そして、その部品の保守契約状況や、交換部品在庫の有無、Chatbotから音声でバックエンドシステムへ注文をサポートしてくれる。
と言った感じでしょうか?いきなりリッチな内容ですが、ここが目指すところです。
これからは下記のGartnerのトレンド予測にもあるようにこれまでのようなモバイルアプリではなく、このようなインテリジェントな機能を組み込んだ新しいモバイル機能が主流になってくると私も考えています。
ただ、このような機能を一から作りこむのではなく、AppleがデバイスとOSに組み込んでいる機能をフルに活用することと、アプリを高効率に開発するためのフレームワークの活用が、これからの主流になってくると考えますので、皆さんもこの流れに乗り遅れないようにしてください。
<エンタープライズ企業の50%以上は2021年までに従来のモバイルアプリよりボットやチャットボットの開発にフォーカスする。******
***** https://www.nelco.com/wp-content/uploads/2017/10/gartner-trend.jpg Gartner 2018年版米国ITの10大トレンド予測>
こんな、ネイティブOSのパワーをMAXに引き出し、かつ高効率にモバイルアプリケーションを開発できる機能をSAPはSAP Cloud Platform で実現しています。
Appleとの協業により、Swiftベースのアプリを開発するためのiOS SDKとAssistant App、Fiori Menter Appをリリースしました。
そして、Appleが提唱するHuman Interactive Designに基づき、エンタープライズ顧客向けのモバイルUIガイドライン「Fiori for iOS Design Guide」を作成・リリースいたしました。これにより、SAPシステムとの統一感を持ちつつよりUXを高めてていく、開発を助けていく仕組みを提供しています。
https://experience.sap.com/fiori-design-ios/
インテリジェントエンタープライズのためにSAPが提供する次世代モバイルアプリケーションの参考例:
SAP Work Manager & Asset Manager
https://www.youtube.com/watch?v=n8-Ms625ZtA
SAP Mobile Card
https://www.youtube.com/watch?v=nkgrbWreFFI
SAP Cloud Platform iOS-SDKを利用した顧客事例はグローバルでも多数出てきております。特に、製造・コンシューマー・リテール・流通を中心に多様な業種・業務で活用が始まっています。
SAP Cloud Platform iOS-SDK 活用公開事例:
https://cloudplatform.sap.com/content/skywalker/website/en_us/success.html?keywords=iOS
やはり、海外の方がまだこのような新しい取り組みに対する採用スピードや感度が高いようです。
日本の企業さんがこのようなものを検討する際に意識すべきは、Agileに進めることです、クイックスタート、Fail first & Fail often、これを実践してください。
最初から100%を目指さないことです。たとえ基幹系刷新のプロジェクトだったとしても、この部分だけは切り出して別のオペレーションを心がけるくらいの気持ちで臨んでいたただくのが大切だと思います。
■どんな嬉しいことがあるのか? (自分なりに考えてみた)
コンシューマグレードアプリ導入によるメリット:
SAP Cloud Platform Mobile Service(iOS SDK)を活用するメリット:
■最後に
この記事は、SAPジャパンで実施しているアドベントカレンダーへも寄稿いたします。何人かの方がこのiOSSDKを使ったアプリ開発についてブログを投稿してくれていますので、より詳細な内容について知りたい方はそちらも見てみてください。
SAPシステムに慣れ親しんだ技術者の皆さん、SAPシステムとは疎遠だったけどSWIFT開発を生業としエンタープライズシステム開発・SAPビジネスに関心のある技術者の皆さんのご参加をお待ちしています。
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