はじめに
本ブログでは、インターン学生がSAP HANA Cloudに触れ、
”知識ゼロからSAP HANA Cloudを扱えるようになるまで”の軌跡を紹介いたします。
~~~筆者の簡単な自己紹介~~~
皆さん、こんにちは!
STARプログラム(SAPのインターンシップ)三期生の日詰達哉と申します。
大学で学んでいること :微生物が持つユニークな機能の解明、応用についての研究。
ITやデータに関する知識:Excelで実験データをグラフ化できる程度。
今回は、SAP HANA Cloudに初めて触れてみたからこそ感じたことを学生目線で提供しつつ、「SAP HANA CloudのFree Trialで実際にどんなことができるのか?」に焦点を当て、解説いたします。
※本ブログの目的は、SAP HANA Cloudでデータを扱ってみることです。したがって、一部説明を簡略化している箇所があります。予めご了承ください。
内容は下記のとおりです。
1. Free Trialに参加登録してHANAインスタンスを作成する
2. 実際にテーブルを作ってみる
3. SAP HANA Cloudに関する感想
1. Free Trialに参加登録してHANAインスタンスを作成する
Free Trialへの登録方法は、本ブログでは割愛させていただきます。
下記のブログをご参照ください。
Free Trialではじめる SAP HANA Cloud: HANAインスタンスの作成 (更新版)
2. 実際にテーブルを作ってみる
それでは、SAP HANA Database Explorerを使ってテーブル(表)を作成してみましょう。SAP HANA Cloudでは、データベースに「SQL」を使用してアクセスします。
左上の「Open SQL Console」をクリックし、SQLを実行するための準備を行います。
・テーブルの作成
今回は、例として実験者名簿を作成します。
テーブル名を実験者名簿にちなんで(experiment)とし、
ID(ID)と名前(name)、研究科目(subject)の項目を含んだものにします。
下記のようなSQLを実行し、データベースにテーブルを作成します。
※実行は緑の矢印をクリックします。
CREATE TABLE experiment(ID int, name varchar(30), subject varchar(30));
作成したテーブルは、左タブのCatalogのTablesから確認できます。
テーブル作成に関する構文は下記のとおりです。
CREATE TABLE テーブルの名前(カラム名1 カラムのデータ型, カラム名2 カラムのデータ型, ・・・・);
「カラムのデータ型」は、簡単に言えば「単位」のようなものです。
代表的なものは下記になります。
カラム型(略称)
integer(int):整数
float:小数
varchar:文字
※簡略化した説明になります。 また、varchar(30)などにおける(30)は、最大文字数を表します。
・データの追加
次はテーブルにデータを追加していきましょう。
下記のSQLを実行します。
INSERT INTO experiment (ID, name, subject) VALUES (1,'田中','化学');
INSERT INTO experiment (ID, name, subject) VALUES (2,'山田','生物');
INSERT INTO experiment (ID, name, subject) VALUES (3,'日詰','生物');
データの追加に関する構文は下記のとおりです。
INSERT INTO テーブルの名前(カラム名1, カラム名2, ・・・・) VALUES (カラム名1のデータ, カラム名2のデータ);
※文字を入力する際は、データの両端に ' を忘れずに入力しましょう。私はこれに気づかず、長時間エラーに悩まされました…笑
テーブルのデータは左下のテーブルから、Open Dataをクリックすることで確認が可能です。
また、
INSERT INTO experiment VALUES (4,'本田','微生物');
INSERT INTO experiment VALUES (5,'佐々木','微生物');
のように
INSERT INTO テーブルの名前(カラム名1, カラム名2, ・・・・) VALUES (カラム名1のデータ, カラム名2のデータ);から
INSERT INTO テーブルの名前 VALUES (カラム名1のデータ, カラム名2のデータ);
へ省略も可能です。
・データの取得
ここでは、データをデータベースから取得してみましょう。
下記SQLを実行します。
SELECT ID, name, subject FROM experiment;
データの取得に関する構文は下記のとおりです。
SELECT 取得するカラム名 FROM テーブル名;
また特定の条件のみ取り出したい場合は、
SELECT 取得するカラム名 FROM テーブル名 WHERE 取得するカラム条件;
例) SELECT ID, name, subject FROM experiment WHERE subject='微生物';
・データの削除
下記のSQLを実行します。
DELETE FROM experiment WHERE name = '山田';
これにより、山田に関するデータがテーブルから削除されました。
データの削除に関する構文は下記のとおりです。
DELETE FROM テーブル名 WHERE 削除するカラム条件;
以上がSQLを使用した基本的なデータベースの操作になります。
次は実際に実験のデータを入力してみます!
今回は例として、「様々な温度に対する微生物の挙動(培養温度と微生物が生産するタンパク質の関係性)」を示したデータを使います。
なんのためのデータ?と思われるかもしれませんが、人間が暑い時は汗をかいたり、寒い時は震えたりするように、微生物も温度によって様々な挙動を示すのです。
そのような現象を突き詰めていくことで、もしかしたら社会に役立つ面白い機能が見つかるかもしれません!!!(面白さが伝われ!!!)
既にExcelでテーブルができてるやないか!というツッコミはさておき、
このデータを入力していきましょう。
・・・え?入力するのが大変?
実は、CSVファイルでデータ入力もできちゃうんです!
先ほどの手順通り、実験データに関するテーブル(Protein_DATA)を作成するため、
SQLを実行します。
CREATE TABLE Protein_DATA (ID int, Protein_Name varchar(30), Temp_30 int, Temp_40 int, Temp_65 int, Temp_77 int);
そして、左下のProtein_DATAを右クリックし、Import Dataを選択します。
出力するデータのファイル(CSV)を選択し、
データを追加するテーブルを選択します。
そして、それぞれのカラムを対応させることで、データの入力を行えます!
また、Open DataからAnalysisを選択するとデータの分析も行えます。
40度における微生物中のタンパク質の量をグラフ化したり、
40度と77度における挙動の比較をグラフ化したりできます。
実際の研究では、このような結果から、
「Protein_07のタンパク質だけが、温度が高い方がたくさん生産されているな」
「このタンパク質は温度に関する何かユニークな機能を持つのかな」と調べていくわけです。
また、グラフの形式も変えることができます。
直感的な操作から様々なデータの見方を試せるのも面白いポイントです。
以上がSAP HANA Cloudを用いたテーブルの作成および簡単な分析の説明になります。
3. SAP HANA Cloudに関する感想
皆様の中には「これって、Excelのピポットテーブルと何が違うの?」と
思われた方はいるのではないかと思います。実は私もその一人でした。
たしかに今回の操作に関して言えば、ピポットテーブルとの違いが分かりにくいのも事実です。しかし、もう少し視野を広げて考えてみましょう。SAP HANA Cloudの良さが見つかるかもしれません。
例えば、あなたは国際的な研究チームのボスだとします。研究チームのボスとして、あなたは世界各地にいる研究者たちの進捗具合に応じて、
臨機応変に実験プランを立てる必要があります。このような場合、どのようにして全研究者の進捗状況を把握すればよいでしょうか?
Excelの場合を考えてみましょう。
まず、研究者たちは実験データをあなたへ送信します。あなたは送られてきたデータを統合し、実験の進み状況を把握します。しかし、この手法では研究者の数が増えるにつれ、
手間と時間がかかることは明らかです。
では、SAP HANA Cloudの場合はどうでしょうか?
各研究者たちは、自身の実験データを直接テーブルに追加し、更新します。
あなたがやるべきことは、SAP HANA Cloudからデータを取得するだけです。
これにより、日々更新される研究の進捗状況を
常にリアルタイムで追うことができます。
この強みは、研究に限りません。
特に、企業の経営は迅速な意思決定がカギを握ります。SAP HANA Cloudを利用すれば、日本各地の部署の営業記録や海外の子会社の生産状況も
リアルタイムで把握することができます。
このようなリアルタイムのデータ管理をSAP HANA Cloudが支えているわけです。
以上で、本ブログの説明は終了です。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
少しでもSAP HANA Cloudのこと、SAPのことに興味を持っていただければ幸いです。
それでは!