先日に引き続き、SAP Technology Summit のパート2についての聴講レポートです。
パート2のテーマは「SAPシステム管理のツボ:2013年は20%TCO削減」ということで
ジョブ管理、テスト自動化、システム運用効率化など主にBASIS技術者向けの内容となっています。
1. JOB管理再構築(スパゲッティ&属人化からの脱出)事例 ~ Batch JOB設計から運用までのライフサイクルをSAP Solution Manager JSM/ChaRM機能とSAP CPSで改善 ~
講師: 鈴木孝司さん(日本発条)/西村伸也さん(リアルテックジャパン)
日本発条様は日本で一番Solution Managerを使いこなしているSAPユーザーとして有名ですが、
前半はJSUGテクニカル部会長でもある鈴木様から
JP1でこれまで行ってきたジョブ管理をSAP標準のJSM/CPSに置き換えたプロジェクト事例の紹介がありました。
これまでのジョブ管理における課題は大きく3つあったようです。
- メインフレーム時代から踏襲される属人的なジョブ管理
- 不十分なテスト
- SOA/BPM(Java)、BW(プロセスチェーン)などSAP新機能への対応
この課題解決を検討していく中でCPS(SAP Central Process Scheduling by Redwood)の存在を知ります。
JP1と比較したところCPSで大半の機能が実現できていることが分かりました。
唯一ウィークポイントを挙げるとするならジョブネットの柔軟性がやや劣る点ですが、
これらについてもRedwood社と協議の結果、代替案が取れるということで、
Solution Manager 7.1から提供されているJSM(Job Scheduling Management)とCPSの組み合わせにより
JSMで申請しCPSでジョブ実行する運用自動化への切り替えを決断されたとのことです。
これによって得られた大きな効果は以下となります。
- 文書化による作業標準化および品質向上
- ジョブ効率化
- ライセンス管理(CPSはCPU課金ではなくSAPインスタンス課金のため仮想化でも管理が容易)
オペレーションの自動化を実現した今、今後はプロセスの自動化の実現を目指されるようです。
また、ChaRM(変更依頼管理)との連携についても評価・導入を検討されていることで、
Solution Manager活用の先進事例としてますます目が離せません。
続いてリアルテック西村様からCPSについての詳細説明がありました。
CPSは販売・サポートがSAPであること、NetWeaver Javaの一機能として動作すること、
当然SAP/Non-SAPを統合したジョブ管理ができることが特徴としてまず基本としてあります。
その上で、CPSがお客様にもたらす価値は以下のようなものがあるとのことです。
- 同じSAP社製のためSAPアップグレード/パッチ適用時の追従性・互換性が高い
- リソース状況に応じたロードバランシングができる
- Solution ManagerのChaRMなどとシームレスな連携運用
- BWプロセスチェーンやPI/BPM、HANAなどSAP製品とのシームレスな連携
- UIがSAP Portalの一部のため既存SAPユーザーの操作性が高い
- ERPなどと同様の多言語サポート
- SAP社によるワンストップサポート
JSM/CPSについては以下情報も参照ください。
2. ERPアプリケーションのテスト効率化と規制対応 SAP QualityCenter by HP ~ 医薬品業界の事例 ~
講師: 宮澤さん/岡さん(東洋ビジネスエンジニアリング)
テスト自動化で期待することは工数削減と品質向上です。
テスト自動化の対象は機能テスト(単体・結合テスト、システムテスト、運用テスト)、権限テストが主です。
テンプレートを作成することで業務エリアや企業間の配布・展開を容易にし回帰テストの効率化を実現します。
SAPからは以下のツールが提供されています。
- QC(Quality Center): コンピュータ化テスト管理ツール
- QTP(Quick Test Professional): 自動化テストツール
実際にこれらツールを使用したプロジェクト事例から以下が分かりました。
テスト計画書作成、テストスクリプト作成は手動テストに比べて追加作業となるため工数がかかります。
一方で、テスト実行は自動化できるため工数の削減につながります。
具体的には同一テストを3回以上行う場合はテスト自動化ツールの導入の効果が期待できます。
QC/QTPならではの価値としてテスト結果がPDFで提供されるためテストレビューも効率化できます。
また付随する効果として、自動スクリプト実行中に他タスクを行えることから、
プロジェクト要員のリソースマネジメントを柔軟に行えるという点も挙げられます。
少し長くなりましたので続きは次回2/2へ...