前回の設計編に続き、今回はSAP NetWeaver 7.31 on RHEL 6.3/Sybase ASE 15.7の
具体的な導入手順についてご紹介します。
まずはNote 1496410 - Red Hat Enterprise Linux 6.x: Installation and Upgradeに従って、
rootユーザーで必要なOS設定を行います。ほぼ共通手順なのでポイントだけ記載します。
- SELinuxはPermissiveにします
- /etc/sysconfig/selinux => Permissive に修正(恒久的に)
- setenforceコマンドで引数に0を指定 (一時的に)
- Firewallはオフまたは必要なポートを開けておきます
service iptables stop
- ブート時の自動起動もオフにする場合は chkconfig iptables off
- ホスト名
- /etc/sysconfig/network のHOSTNAMEはFQDNにしない
- /etc/hosts のエントリーは2列目がFQDN、3列目がホスト名になるようにすること。
追加のホスト名を記載する場合は3行目以降にすること127.0.0.1 localhost.localdomain localhost
xxx.xxx.xxx.xxx sapserver.example.com sapserver
- カーネルパラメーター
- /etc/sysctl.confに以下を追記し、sysctl -pコマンドで反映します。
下2つはSybase ASE固有の値ですkernel.msgmni=1024
kernel.sem=1250 256000 100 1024
vm.max_map_count=1000000
kernel.randomize_va_space=0
kernel.exec-shield=0
- プロセスリソース制限
- /etc/security/limit.confに以下を追記します
@sapsys hard nofile 32800
@sapsys soft nofile 32800
- ディレクトリ、マウントポイント
- 設計編で記載したデータベースおよびSAPシステムで必要となるディレクトリを作成し、
環境に応じてストレージ領域のマウントも行っておきます
- Swap領域
ここまで準備ができたら早速SAPシステムのインストールを始めましょう。
GUI環境にrootユーザーでログインし、まずはターミナルを立ち上げます。
インストーラーのログを格納するディレクトリを指定するために以下の環境変数を設定しておきます。
sapinst_instdirは権限777に設定しておきます。
[root@host] # export TEMP=<sapinst_instdir>
[root@host] # chmod 777 <sapinst_instdir>
また、ユーザーのリソース制限を修正しておきます。ulimit -aコマンドで現在の設定状況を確認します。
以下になっていない場合はulimitコマンドで修正します。
- time(seconds) unlimited
- file(blocks) unlimited
- data(kbytes) unlimited
- stack(kbytes) 8192
- coredump(blocks) unlimited
- nofiles(descriptors) 8192
- memory(KBytes) unlimited
ダウンロードしたSWPMのSARファイルをSAPCARで解凍し、
展開された中にあるsapinstを実行してインストーラーを起動します。
[root@host] # <SWPM Media Path>/sapinst
SAP Enhancement Package 1 for SAP NetWeaver 7.3
=> SAP Sybase ASE
=> SAP Systems
=> Application Server ABAP
=> Standard System
=> Standard System と辿り、選択してNextで先へ進みます。
ウィザードの入力項目は他DB時のSAPインストールと共通の部分も多いので
Sybase ASE固有部分のみスクリーンショットを交えて説明していきます。
SAP System ID(SID)、ドメイン名、Kernelメディアの格納先、マスターパスワード、
OSユーザー情報、そして次にSybase ASEのインストールメディアの格納先を指定します。
Exportメディアは設計編で記載した通りSybase ASE専用のものが必要です。
展開したExportメディアにはEXP1、EXP2、EXP3ディレクトリがありますがEXP1のみ聞かれます。
続いてSybase ASEのデータベース配置先およびデータファイルのサイズを聞かれます。
必要に応じて修正および追加をします。
Sybase ASEの使用するポート番号です。デフォルトのままで問題ありません。
Sybase ASEのデータベースインスタンスが使用するハードウェアリソースを聞かれます。
Sybase ASEの各データベースユーザーのパスワードを聞かれます。
初期値はマスターパスワードが入力されています。
データベースロードの並列数を聞かれた後に統計情報の更新を行うか聞かれます。
この後はSAPインスタンス番号、ABAPメッセージサーバーポート、SAPバイナリーの展開先、
Diagnostics Agent関連、SLDへの登録とお馴染みの流れになります。
特別な要件がない限り基本的にはどれもデフォルト値で問題ないでしょう。
最後にサマリーが表示されるので最終確認をして問題なければインストールを開始します。
インストールのステップでは以下の処理が行われます。
一番の特徴はSybase ASEのデータベースソフトウェアのインストールも自動的に行ってくれるところです。
Windows/SQL Server、Windows/OracleだとSAPインストール前に手動で、
Unix or Linux/OracleであればSAPインストールの途中で手動で入れる必要があります。
Execution of XXXX has completedのポップアップが表示されればインストール完了です。
インストール作業自体はSWPMのみで実施できるため非常にお手軽です。
一般的なBASIS管理者であれば特別な知識も不要と思います。
次回は管理ツールについて紹介します。