本ブログシリーズでは、SAP S/4HANA(以下、「S/4」) とSAP Datasphere (以下、「Datasphere」) とのデータ連携の設定について解説します。
今回はDatasphere で「リモートテーブル(仮想テーブル)」を作成する手順について解説します。
便宜上、その概念を説明する際に「仮想テーブル」と呼ぶことが多いのですが、Datasphereの正式な機能名は「リモートテーブル」になります。
今回はリモートテーブルを作成する手順を幾つか紹介します。
グラフィックビューを作成する中で、ソースシステム(S/4システム)に接続してリモートテーブルを作成する手順を紹介します。
メニューの「データビルダ」を選択し、新しいグラフィックビューを作成します。
左メニューの「ソース」を選択し、前ブログの手順で作成したS/4の「接続」を展開し、「Extractors」 > 「ABAP_CDS」の順にフォルダを展開していきます。
※ S/4では、猛烈な数の標準CDS Viewが提供されていますが、「どのデータを見たい時は、どのCDS Viewを見るのか」については、S/4の知見のある方に支援を求めてください。
今回は購買発注明細関連のCDS Viewを元にモデリングします。対象のCDS Viewをドラック&ドロップで右側のキャンパスに持って行きます。
リモートテーブルのビジネス名と技術名をここで指定してください (今回はデフォルトのままインポートします)。「インポートおよびデプロイ」ボタンをクリックして、CDS Viewの定義情報を元にリモートテーブルを作成します。
このリモートテーブルを経由してリモートのS/4システムのデータを確認する際は、リモートテーブルを選択し、「データビューア」ボタンをクリックしてください。
繰り返しになりますが、S/4では猛烈な数の標準CDS Viewが提供されているため、対象のCDS Viewを検索してデプロイする方法が現実的でしょう。その場合は「接続からインポート」ボタンをクリックして検索画面を表示します。
検索画面ではCDS View名を指定し、目的のCDS Viewが見つかったらチェックボックスをチェックしてリモートテーブルのインポートを行います。
参考までに、CDS Viewの検索で利用するCDS View名は下記の通りです。
このままグラフィックビューのモデリングを続けてもいいのですが、今回はリモートテーブルの作成手順の解説が目的のため、一旦、ここでグラフィックビューの作成は中断して、グラフィックビュー自体は(保存もデプロイもせずに)破棄します。
※ グラフィックビューを破棄してもリモートテーブルは有効です(インポート済み)。
同じくデータビルダで「インポート」ボタンをクリックし、「リモートテーブルをインポート」を選択します。
「接続」を選択し、CDS Viewの検索画面を表示します。
CDS Viewの検索画面では、先ほどと同様に検索ボックスにキーワードを入れて検索し、目的のCDS Viewをチェックして「次のステップ」ボタンをクリックします。
選択したCDS View を確認してインポートを開始します。インポートできたら画面を閉じます。
インポート(作成)されたリモートテーブルが確認できます。
中々、爽快です。試しに一つクリックして定義内容を見てみましょう。
S/4内で定義されているCDS View 名や項目名をそのまま流用してリモートテーブルを自動作成しました。
ビジネス名については変更も可能です。
作成したリモートテーブルをDatasphereに「リアルタイム複製(レプリケーション)」したり、「スナップショット複製(ある一時点のリモートのデータをコピー)」に切り替える操作をご紹介します。
メニューから「データ統合モニタ」を選択し、「リモートテーブル」タブを選択します。
対象のリモートテーブルを選択した後、右上のメニューから「データ複製」 > 「リアルタイムデータ複製を有効化」 を選択します。右上のリフレッシュボタンを押すとレプリケーションの設定状況がアップデートされます。
別のリモートテーブルを同様に「リアルタイムデータ複製を有効化」するとリアルタイム複製をサポートしていない旨のメッセージが出ます。これはリモートテーブルの元となるCDS Viewがデルタ(更新差分)管理されていないためです。
そのようなリモートテーブルは「スナップショット複製」を選択します。同様の手順で、メニューから「データ複製を開始」を選択し、スナップショット複製を作成します。
スナップショット複製は文字通り、「ある一時点のデータをコピーしたもの」なので、定期的にリフレッシュする必要があります。
その定期リフレッシュをスケジューリングする方法について解説します。
対象のリモートテーブルをチェックし、右上のメニューから「スケジュール」>「スケジュールを作成」を選択します。
設定例は、最短のスケジュール実行間隔である10分を指定している例です。
開始時刻の指定はUTC (世界標準時間)でセットしますが、右側の「実行を表示する時間帯」で「現地時間」を選択すると日本での実行時間が表示されます。
CDS Viewにも沢山の種類がありますが、Datasphereとデータ連携できるCDS Viewは「データ抽出(Extraction)可能なCDS View」に限られます。
下記の通り、S/4の「ビューブラウザ」を利用して、「代替検索」でアノテーションが「ANALYTICS.DATAEXTRACTION」が「true」を条件に検索してください。
また、「キーユーザのリリース済ビュー」を選択するとより確実に安心して対象のCDS View を利用することができます。
そのリストをExcelに出力することもできるので、まずはそのリストでアタリを付けるのも良いと思います。
もちろん、CDS View の名前で検索することも可能です。
※ さらに詳しい実践的な検索方法については、SAPのコンサルタントが書いた下記のブログを参考にしてください。
設定は以上です。
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