
このブログは、2022 年 11 月 21 日に SAP ジャパン公式ブログに掲載されたものを SAP ジャパン公式ブログ閉鎖に伴い転載したものです。
このブログは、jason.hinsperger が執筆したブログ「SAP HANA Cloud, Data Lake Relational Engine on Object Storage」(2022 年 10 月 6 日)の抄訳です。オリジナルのブログのコメントのやりとりもぜひご参照ください。
この変更によりクラウドネイティブなデータベースとして、コンピュートとストレージが完全に分離されました。
最新の情報は、SAP Communityの最新ブログやマニュアルを参照してください。
SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンの 2022 QRC3 リリースにおいて、リレーショナルエンジンの TCO プロファイルを変更し、様々な領域でパフォーマンスが向上する大きな新機能がリリースされました。
ご存知かもしれませんが、SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンはオンプレミスの SAP IQ テクノロジーをベースにしており、このコアテクノロジーをクラウドサービスで利用できるようにトランスフォーメーションしました。
その一方で、このコアテクノロジーの持つ幅広い機能と成熟性を継続して利用できるようにしています。 これまで、SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジン(HDLRE)は、クラウドの一般的なブロックベースのディスクストレージを利用していました。
これを利用することで短期間にクラウドのサービスをスタートすることができました。
また多くの高品質な機能を、自信をもって提供することができましたが、いくつかのマイナス面もありました。
例えば、SAP HANA Cloud, data lake をプロビジョニングする際、ストレージサイズを事前プロビジョニングする必要があり、プロビジョニングしたストレージが一杯になったらお客様側でサイズ変更して大きくする必要がありました。
また、プロビジョニングしたストレージのサイズが、インスタンスのI/Oパフォーマンスに直接影響しました。
さらに、一旦プロビジョニングしたストレージサイズは、インスタンスを再構築しない限り小さくすることができませんでした。
QRC3 2022 リリースより、SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンはデータベースファイルに HDL(SAP HANA Cloud, data lake)ファイルストレージを利用します。
言い換えると、SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンのデータベースファイルは、オブジェクトストレージに格納されるよう変更されました。
これにより、前述のマイナス面を解決することができるだけでなく、いくつものメリットがあります。
SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンのストレージがオブジェクトストレージになることで、いくつか重要なメリットがあります。
SAP HANA Cloud, data lake のコストに影響する測定方法にいくつか変更があるため、全体としてほとんどのお客様のコストが下がることが予想されます(全てではないかもしれません)。
メリットが小さいケースもあるかもしれませんが、ほとんどのケースで非常に大きなメリットになるでしょう。
ただし、これらのコスト改善は、徐々に反映されることに注意してください。
なぜならば、既存の SAP HANA Cloud, data lake のユーザーの場合には、このクラウドのオブジェクトストレージへ移行するためのアップグレードの実行に関係するコストが発生するからです。
この新しいクラウドの DBSpace 機能が有効になると、お客様の SAP HANA Cloud, data lake の利用料は大きく変わります。まとめると、
前述のとおり、オブジェクトストレージはブロックベースのストレージよりも格段に安いため、保存データのコストの大幅削減が見込まれます。
バックアップの SLA に変更はありませんが、TCO に影響のあるバックアップの変更がいくつかあります。システムデータベースは、ユーザーデータのデータ量と比較すると小さいものですが、これまでどおり通常のバックアップ方法を使用してバックアップされます。
一方、オブジェクトストレージに格納されるユーザーデータは、オブジェクトストレージの機能(例:スナップショットや耐久性)を利用して、リカバリーが必要な問題が発生した時のリカバリー性を確保します。
SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンの実際の使用状況によっては、バックアップコストの大幅な削減を実感できるでしょう。
例えば、SAP HANA Cloud, data lake はデータの追加のみでめったにアップデートしない場合、バックアップコストは非常に低く抑えることができます。
一方、SAP HANA Cloud, data lake のデータをコンスタントにアップデートしている場合には、バックアップコストはオブジェクトストレージ利用前と同程度になります。
SAP HANA Cloud, data lake のコンピュート課金についてもいくつか変更があり、pay-per-use モデルに、より密接に関連するようになりました。
既存のコンピュート課金(SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンの処理に引き当てられる vCPU 数)に変更はありませんが、今後はオブジェクトストレージから/への読み込み/書き込みのトラッキングに、SAP HANA Cloud, data lake Files の API コールのメトリックを使用します。
これらのコストは、SAP HANA Cloud, data lake の実際の使用状況と直接関係するため、データを格納するだけで、頻繁にクエリーを投げないのであれば、コンピュートコストの大きな変更にはなりませんが、SAP HANA Cloud, data lake に対して頻繁にクエリーを投げる場合には、コンピュートコストは増加します。
ネットワークデータ転送のメトリックも変更になります。
変更前は、いくつかのクラウドプロバイダーではへの読み取りと書き込みの両方のアクティビティーに対してネットワークデータ転送料が課金されました。
変更後は、このメトリックに SAP HANA Cloud, data lake からの読み込みオペレーション(つまり、クエリー結果セットとファイルの読み込み)が反映されます。
ほとんど全てのケースで、ネットワークデータ転送料は実際にはこれまでとほとんど変わらないか削減になるでしょう。
既存の SAP HANA Cloud, data lake インスタンスのオブジェクトストレージ利用のためのアップグレード方法は?
SAP HANA Cloud QRC3 リリースで、SAP HANA Cloud, data lake リレーショナルエンジンの全てのインスタンスは、オブジェクトストレージをデフォルトで使用するようになりますが、既存のインスタンスは、アップグレードしない限り継続してこれまでのストレージを使用します。
お客様の既存のインスタンスをオブジェクトストレージにアップグレードするには、2つのステップがあります。
最初のステップは、ソフトウェアの QRC 3 へのアップグレードです。
これは、「通常(regular)」のアップグレードであり、HANA Cloud Central ツールから行うことができます。
またこのアップグレードは、お客様が選択したタイミングで行うことができます。
お客様のインスタンスのソフトウェアがアップグレードされたら、オブジェクトストレージへのアップグレードを実行するための次のステップを行えるようになります。
これも、ソフトウェアのアップグレードと同じ方法で実行します。
つまり、お客様のインスタンスの HANA Cloud Central インターフェースから行います。
唯一の違いは、お客様のデータをオブジェクトストレージに移動することになるため、通常のアップグレードよりも少し時間がかかるという点です。
このアップグレードにかかる時間は、お客様のインスタンスの大きさにより異なります。
1 TB のインスタンスで数分程度、大きいインスタンスでは数時間かかることもあります。
アップグレードが完了したら、終了です。
オブジェクトストレージを有効にするために行うことは他にはありません。
お客様のビジネスの状況に応じて、このアップグレードを計画、実行されることをお勧めします。
2023 年 Q1(1 月~ 3 月)には、全ての SAP HANA Cloud, data lake インスタンスを、SAP 側で 2022 QRC3 にアップグレードします。
このアップグレードには、事前定義されたメンテナンスウィンドウが使用されます。
オリジナルのブログはここまでです。
SAP HANA Cloud 見積もりツールはこちらです。
SAP HANA Cloud Capacity Unit Estimator
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