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SAP Datasphereは新機能として「分析モデル」が追加されました。

「分析モデル」では、ファクトに保持するメジャー、ディメンション、ディメンションの属性情報からの選択、分析データのプレビューなどの機能が追加されたことにより分析オブジェクトの設計において、さらに多くの自由度が提供されました。

本ブログでは「分析モデル」の新機能のうち各種変数作成機能について紹介します。

 

1.フィルタ変数
ディメンションごとに作成できるフィルタ変数は1つだけです。
データセットをフィルタ処理するために使用されるディメンション固有の変数です。
データ全体をフィルタすることができます。

2.ソース変数
入力パラメータにマッピングするために使用されます。
ファクトソースの入力パラメータを分析モデルでマッピングすることでフィルタ変数と
同様の機能になります。

3.制限メジャー変数
制限付きメジャーのフィルタ条件で使用されます。
制限されたメジャーにのみ適用でき、データ全体をフィルタすることはできません。

4.参照日付変数
分析モデルに作成できる参照日付変数は1つだけです。
分析モデルの参照日付変数を基準日として時間の経過とともに変更される「時間依存」の
マスタを基準日における適切なマスタを表示することができます。

 

1. フィルタ変数


フィルタ変数は、設定したディメンションでデータ全体をフィルタすることができます。
今回の例では会社コードを複数の単一値でデフォルト値は設定せずに全体をフィルタします。
変数を追加->フィルタ変数をクリックします。


フィルタ変数の定義を設定します。
会社コードを複数の単一値で入力必須としない変数とし、デフォルトの値は設定しません。

ディメンション:フィルタを行うディメンションを選択します。

フィルタタイプ:単一、複数の単一値、間隔、範囲を選択します。

デフォルト値:デフォルトで設定したい値を設定します。

必須:制限メジャー変数を必須にする場合にチェックを入れます。


SAP Datasphereでプレビュー表示すると変数の入力画面が表示されます。
値のヘルプから値から「A000」選択します。


フィルタ変数で設定した会社コードの値のみが表示されていることが確認できます。



2. ソース変数


1.フィルタ変数でご紹介した変数と同様の機能となります。
フィルタ変数は分析モデルから変数を作成しますが、ソース変数は、データビルダで作成した入力パラメータを分析モデルでインポートし分析モデルでマッピングをします。

今回の例ではデータビルダで会社コードを入力パラメータで設定し、実行時に変数を「A000」に設定して実行します。

データビルダで入力パラメータを設定し、分析モデルでパラメータをマッピングします。



SAP Datasphereでプレビューを表示すると、変数入力を求められ、入力した変数の値でプレビューデータがフィルタされていることが確認できます。
※変数の入力時に値のヘルプから値を選択することはできません。



3. 制限メジャー変数


制限メジャー変数は、制限付きメジャーのフィルタ条件で使用されます。
今回の例では会計年度を制限メジャー変数で制限をかけた金額(グローバル通貨)のメジャーを作成します。
制限付きメジャー変数は制限されたメジャーにのみ適用でき、データ全体をフィルタすることはできません。

変数を追加->制限メジャー変数をクリックします。


制限メジャー変数の定義を設定します。
今回は、「比較元 会計年度」と「比較先 会計年度」を制限メジャー変数として作成し、変数で指定した会計年度の金額として「比較元 金額」と「比較先 金額」を作成します。

ディメンション:制限を行うディメンションを選択します。

フィルタタイプ:単一、複数の単一値、間隔、範囲を選択します。

デフォルト値:デフォルトで設定したい値を設定します。

必須:制限メジャー変数を必須にする場合にチェックを入れます。

 

比較元 会計年度


比較先 会計年度


次に、制限付きメジャーを作成し、作成した変数を設定しSAP Datasphereでプレビュー表示します。

※制限付きメジャーの詳細はこちらをご確認ください。

比較元 金額


比較先 金額


変数の入力画面が表示され、デフォルト値で設定した値が表示されていることが確認できます。


デフォルト値から変更する際に、値のヘルプから値を選択することもできます。


制限メジャー変数を入れていない「金額(会社コード通貨)」は存在するすべての会計年度が表示され、制限メジャーを入れている「制限付き金額」は入力した会計年度の変数2020と2021の値が制限され表示されています。




4. 参照日付変数


参照日付変数は表示するテキストの時間依存の基準日として日付を設定することができます。
今回の例では変数に入力した日付に基づいて原価センタマスタテキストを表示できるようにします。
分析モデルに時間依存機能を実装するには、3つの手順が必要になります。

ステップ 1: ディメンションまたはテキストエンティティで時間依存のセマンティックタイプを指定する

ステップ 2: ディメンションを分析データセットに関連付け、分析モデルを作成する

ステップ 3: 変数を追加し、変数に日付を入力し、その日付に基づいてディメンションメンバーを表示できるようにする

 

ステップ 1: ディメンションまたはテキストエンティティで時間依存のセマンティックタイプを指定する

原価センタテキストの列の編集からセマンティックタイプとラベル列を設定します。

言語キー:言語

有効終了日:ビジネス日付-終了

有効開始日:ビジネス日付-開始

※ディメンションまたはテキストエンティティで時間依存を有効化の詳細はこちらをご確認ください。


ステップ 2: ディメンションを分析データセットに関連付け、分析モデルを作成する

原価センタマスタのディメンションにテキストをアソシエーションします。


データビルダでG/L勘定明細に原価センタマスタのディメンションをアソシエーションします。


分析モデルの関連ディメンションの原価センタにチェックを入れます。

※分析モデルのエクスペリエンスとナビゲーションの詳細はこちらをご確認ください。


ステップ 3: 変数を追加し、変数に日付を入力し、その日付に基づいてディメンションメンバーを表示できるようにする

変数を追加->参照日付変数をクリックします。


参照日付変数の定義を設定します。

デフォルト値:デフォルトで設定したい値を設定します。

今回はデフォルト値の設定はしません。


※現在、警告が表示されますが動作には問題がありません。

原価センタマスタのテキストは以下のように設定されています。


SAP Datasphereでプレビュー表示すると変数の入力画面が表示されます。

①2023年8月31日~2023年10月30日の間の日付を変数に入力します。


2023年8月31日~2023年10月30日の間に設定されているテキスト「原価センタ1」が表示されます。


②2023年10月31日~9999年12月31日の間の日付を変数に入力します。


2023年10月31日~9999年12月21日の間に設定されているテキスト「原価センタ2」が表示されます。


 

ヘルプリンク


SAP Datasphere モデリング : 新しい「分析モデル」の利用と「分析データセット」

Time Dependency for Dimensions and Texts in Analytic Model

 

最後に


本ブログでは、分析モデルでのソース・制限メジャー・フィルタ・参照日付変数の利用方法をご紹介いたしました。

メジャー、属性、ファクトに関連する全てのディメンションの選択、分析データのプレビューなど、分析オブジェクトの設計において、さらに多くの自由度が提供されました。

SAP Analytics Cloudなどのツールでの分析データ活用の幅が広がりましたのでご参考になると幸いです。

 

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