
従来、SAPシステムの導入から運用までのサイクルを一気通貫で管理することができるALMツールとして存在してきたSAP Solution Managerに加え、新たなソリューションとして、SAP Cloud ALMが2020年5月に正式にローンチされました。こちらのブログではSAP Cloud ALMの概要のご紹介と一番最初のステップとして必要なSAP Cloud ALMのプロビジョニング/初期設定後のユーザ作成とシステムランドスケープの登録の一連の流れをご紹介します。
SAP Cloud ALMはその名の通り、SAPが提供するALMクラウドソリューションです。SAP Cloud ALMを用いることにより、SAP製品の導入(Implementation)から運用(Operation)に至るまでのステップ [Design(設計)→Build(構築)→Test(テスト)→Deploy(実装)]、また、運用から次のアプリケーションの導入に至るまでのステップ [Detect(障害検知)→Analyze(分析)→Correct(修正) →Automate(運用自動化)]を網羅的に管理することができます。
SAP Cloud ALMの対象としては、クラウドを中心的にご利用いただいているお客様から始まり、S/4HANAオンプレミスを代表としたオンプレミス製品に対してもサポート領域を広げています。
また、SAP Cloud ALMはSAP Cloud Platform上に構築されますが、プロビジョニング後、すぐご利用いただくことができ、また、各機能の設定準備や機能有効化の手間も簡素化されています。
S/4HANA Cloud Essential Editionの導入フェーズに焦点をあてたときを前提とした場合のSAP Cloud ALMの機能のご紹介をさせてください。
Process(業務プロセス管理): “Fit-to-Standard”に則って、SAPベストプラクティスをベースに業務プロセスの設計/実装を容易に行うためプロセスダイアグラムを基盤とした機能をはじめ各種ツールをご提供しています。
Task(プロジェクトタスク管理):SAP Activateをベースとしたプロジェクトタスクを主軸に導入を進めるための機能をご提供しています。
Test(テスト管理):実装された業務プロセスが要件に即しているか、また、システムの変更に伴う影響を確認するために、担当者毎に割り振られるテストシナリオの進捗や結果などをまとめる機能、また、テストの自動化などの機能も順次提供していく予定です。
Change & Deploy(変更とデプロイ管理):要件に従って、システムの変更依頼のワークフローを管理するための仕組みと承認後に実際に変更内容をシステムに実装するための機能となっています。
続いて、本稼働後の監視運用についてのご紹介です。
Monitoring(監視):SAP Cloud ALMが提供する監視コンポーネントとしては、業務プロセス系とシステム系- 統合(インターフェース)、ユーザ観点などに関連する項目をご提供し、お客様業務が円滑に遂行されているかを監視します
Alert & Event Management(アラートとイベント管理):監視項目の中で、お客様の運用要件にて定義された閾値を基準に、問題を検知し、アラートを通知する機能をご用意しています。また、複数のアラートを組合わせて複雑な要件に対する通知機能を実装することも可能です。
Analytics & Intelligence (分析とインテリジェンス):発生した問題の原因調査を行うための分析機能や問題発生を未然に防ぐための予測機能をご提供していく予定です。
Operation Automation (運用自動化):管理者の判断が不要な単純作業であったり、繰り返し必要となるような作業を自動化し、運用コストを最小化する仕組みもご用意していく予定です。
続いて、SAP Cloud ALMの使用権について触れていきたいと思います。
SAP Cloud ALMの使用権はEnterprise Support, Cloud Editionに含まれておりますが、前提条件があります。まず、SAP Cloud ALMが利用するメモリが8GB、また、APIと外部連携するデータ通信量が8GB/月を超えて使用すると、各々、4GB/月毎の課金が必要となります。
また、SAP Cloud ALMの標準機能から拡張させるため、SAP Cloud Platform上に独自拡張開発を行うことが可能となりますが、その際は、SAP Cloud Platform上での追加サービスに対する課金が必要となります。
最後に、非SAP製品に対してテスト自動化や標準に含まれない機能をご利用になる場合なども別途、課金が必要となります。使用権に関する詳細情報はこちらからご確認ください。
その他、SAPからご提供している情報として、公開デモシステム (デモシステムは日本語対応可)や自習学習コンテンツ(Learning Journey英語のみ)もございます。
SAP Cloud ALMのご利用が初めてのお客様は、SAP Cloud ALMのプロビジョニングと初期設定が必要となります。その手順についてはこちらの設定ガイドをご確認ください。日本語にも対応しています。
プロビジョニングが終了すると登録メール宛にSAP Cloud ALMラウンチパッド、SAP Cloud Platformコックピット、Identity Authenticationのテナントのリンクが届きます。
SAP Cloud ALMラウンチパッドにログインしてみましょう。ラウンチパッドの第一画面は以下のような構成になっています。その中からユーザ管理を選択します。
すると、画面が切り替わり、ユーザ管理画面が表示されます。
左の円グラフは、現在、登録されているユーザに割り当てられているロールの分布になります。画面の例はジョブ監視を行えるユーザが11名、統合監視を行えるユーザが12名登録されていることを示しています。
各々のロールで割り当てられているユーザをご確認になりたい場合は、該当の箇所をクリックしてみてください。以下は、ユーザ及びアクセス管理をクリックした例で、3名登録されているのがわかります。
円グラフの画面に戻り、画面右手にあるユーザをクリックしてください。ここで登録されている全ユーザを確認することができます。
それでは、”ユーザ追加”をクリックし、新規ユーザ登録画面を見ていきましょう。
新規ユーザ登録画面が現れます。ユーザ作成には、担当者のメールアドレスを登録してください。
次に、担当者に割り当てたいロールを選択してください。ロールのカテゴリは4つあります。各カテゴリに含まれる各ロールの説明はヘルプポータルに記載がありますのでご参照ください。
導入:SAP Cloud ALMを導入ツールとしてご利用する場合に担当者の役割ごとにロールを割り当てます。
操作(運用):SAP Cloud ALMを運用(監視)管理ツールとして利用する場合に担当領域とその役割ごとにロールを割り当てます。
サービス:SAP Cloud ALMを用いてサービスを実行する際に利用するロールとなっています。サービス実施の事前準備や設定にも必要となります。
共通トピック:いわゆるシステム管理者ロールでユーザやアクセス管理、また、ランドスケープ管理を行うロールとなっています。加えて、監査目的で使用されるロールも用意されており、ここから割り当てることができます。
使用ユーザの定義が役割ごとに定義された後、今度はSAP Cloud ALMで導入・運用/管理対象となるシステムランドスケープを登録する作業が必要となります。ランドスケープ管理では、SAPのサポートを受けるために必要なSAP Support Backboneの接続設定も必要です。
SAP Cloud ALMのラウンチパットからランドスケープ管理を押下します(ヘルプポータル参照)。
ランドスケープ管理画面で、“追加”ボタンを押下します。
入力画面で以下の通り情報を入力し、“保存”ボタンを押下します。
次に、保存されたランドスケープ“LIS”をクリックします。
LISのエンドポイントを登録するため、“追加”ボタンを押下します。
エンドポイント編集画面が表示されますので、情報を入力していき、最後に“保存”ボタンを押下します。
以上で、LISの設定は終了です。
統合監視、業務プロセス監視などの機能をご利用の場合も、事前に対象システムのランドスケープ情報を定義する必要があります。設定内容は対象製品によって若干異なります。詳細はエキスパートポータルに記載されていますので、そちらをご参照ください(統合例外監視リンク、業務プロセス監視リンク)。
また、SAPオンプレミス製品をご利用の方は、SAPクラウドサービス同様、SAP Cloud ALMと接続して運用にご利用いただくことも可能です。運用の概要とSAPオンプレミス製品の接続については、こちらのブログに掲載していますので、ご確認ください。
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