はじめに
製造業のお客様の中には以下のような悩みを抱えられている方が多いのではないでしょうか。
「不良品の発生件数を減らしたいが、管理値が多く、何が品質に影響しているのか、適切な条件が何なのか不明瞭のままである。」
「不良品だと発覚するのが後工程で、投入した原料や人件費の損失がかさんでしまっている。」
もし、不良品予測、原因分析がリアルタイムに可視化され、適切なアクションを起こすことで不良品発生を未然に防止できたらどうでしょうか。
本ブログでは、
“リアルタイムの不良品予測と原因分析” をSAPソリューションでどのように実現するのかご紹介します。
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今回はポリエチレン製造を行う化学メーカー様を例にとってご説明していきます。
ポリエチレンは、エチレンと触媒に圧力・熱を加えて、エチレンをつないでいき(重合)、製造します。
ポリエチレン:プラスチックの一種。加工のしやすさ、原料の安さから大量生産される製品に適しており、ラップやバケツ、灯油缶などあらゆるものの素材として使われています。ポリエチレンは体積が数百キロのタンクで数時間かけて重合されます。製造中のポリエチレンはバッチという単位で管理されます。
【課題】
■ポリエチレンの不良品率を抑えたいものの、温度、圧力、原料(エチレン、触媒)、せん断速度、粒子のサイズ偏差、粘度など様々な条件が関与しているため、
何をどう改善していくべきかがわからない
■
工程が終わったタイミングで初めて不良品であることがわかり 、原料廃棄と人件費の損失が生じている
【解決策】
温度、圧力などのリアルタイムの
センサーデータ と、過去の品質結果や、サプライヤーなどの
業務データを統合 し、
品質予測モデル(機械学習)を実装 することにより、
リアルタイムに品質を予測する ことが可能です。
リアルタイムな品質予測によって、工場の責任者は以下の対応を実施することが出来ます。
① 製造中のポリエチレンで不良品になると予測されたバッチを抽出
② 品質へ大きく影響を与えている原因の洗い出し
③ 適切な対応を担当者に促す
(上記を実現するソリューションの機能概要に関してはこちらをご覧ください)
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SAP Data Warehouse Cloud / データモデリング
・
SAP Data Intelligence Cloud / 機械学習
・
SAP Analytics Cloud / データの可視化
上記の実現イメージを実際の画面でご紹介します。
▼過去の製造条件(センサーデータ)とポリエチレンの品質結果(業務データ)を組み合わせて作成した品質予測モデルを用いることで、現在製造中のバッチが不良品(Out of spec)になる確率が高いと予測できます。加えて、この例では粒子サイズの偏差(PARTICLESIZEDEVIATION)が今バッチの品質に1番大きく影響をもたらしていることがわかります。(偏差:基準値との差)
▼さらに、粒子サイズの偏差がどのくらいの数値だと不良品発生率が低くなるか、リアルタイムに分析ができます。今バッチは、サイズ偏差を小さく抑えるべきであることがわかります。過去の経験からせん断速度を下げると分子の大きさがそろう傾向にあるため、工場責任者はせん断速度を調整する指示を担当者に促すことができます。
最後に
次回のブログでデータ統合から機械学習モデルの作成、実装、可視化までの実現方法を詳しくご紹介します。 また、今回ご紹介したシナリオの他にもデータ活用のユースケースを動画でご紹介しております。是非こちらもご覧ください。
VIDEO
質問などございましたらこちらをご活用ください。 最後まで読んでいただきありがとうございました。
● Part2:SAPソリューションで実現するリアルタイム品質予測と原因分析
大原菜穂