はじめに
本ブログでは、前回のブログに引き続き、簡単なデータセットを公開し、権限管理を行い、世界中から利用できるようにするまでの手順をStep by Stepガイドの形式でお届けします。本ブログは主に
DBへの接続セットアップからAPIの外部コールまでの手順を示します。
なお、内容は2024年01月時点でのスクリーンショットを用いて解説しており、見た目は予告なく変更される可能性がありますので、ご注意ください。
前提条件
目次
- HANA Tools – HANA Cloudへのデータモデルとテストデータのデプロイ
- SAP HANA Database Explorer - テーブルへのSQL実行
- POSTMANからのデータ操作
1. HANA Tools – HANA Cloudへのデータモデルとテストデータのデプロイ
前回 Dev Space を作成する際に追加で有効化を行った SAP HANA Tools を用いて、HANA Cloudへデータモデルとモックデータのデプロイを行なっていきます。左端のペインから「Explorer」を開き、ディレクトリ構造が表示された列の最下部にある「SAP HANA PROJECTS」を展開します。この中には、接続されたHANA Cloudに関する情報が表示されており、ここからデータやスキーマのデプロイを行うことが可能です。
「Database Connections」タブを展開し、内部の「{アプリ名}-service-db」にホバーすると出現する、プラグアイコンをクリックしてください。これにより、SAP BTP上に建てられたHANA Cloudインスタンスへの接続(バインディング)を行うことができます。接続先としては、前回のブログにおける手順のうちで Productivity Tools により、 HDIコンテナ が作成されているはずですので、そちらを選択してください。
HANA ToolsによるHDIコンテナのバインド
続いて、{アプリ名}/dbにホバーすると出現するロケットアイコンをクリックしてください。これにより、このプロジェクト内で行なったDBに関する設定事項が、バインドしたHDIコンテナにデプロイされます。具体的には、Productivity Tools により裏側で作成されたDBスキーマや、手動で作成したモックデータが本番のDB環境に反映されていきます。この際には、ターミナルが自動で立ち上がり、必要な作業を自動で実行していきます。
HANA ToolsによるDBのデプロイ
実行が完了したら、SAP HANA Database Explorer を用いてデータベースの中身を閲覧、更新していきます。
2. SAP HANA Database Explorer - テーブルへのSQL実行
「{アプリ名}-service-db」にホバーすると出現する、箱がたくさん集まったアイコンをクリックしてください。これにより、SAP HANA Database Explorer にアクセスすることができます。
SAP HANA Database Explorerへのアクセス
今回バインドしているHDIコンテナを選択し「Tables」 -> 「JOBRECORDER_JOBRECORD」へドリルダウンしていきます。すると、下図のようなスキーマを閲覧することが可能です。さらに、「Open Data」ボタンから、HANA Cloudに格納された具体的なデータを閲覧することが可能です。
SAP HANA Database Explorerでのスキーマ閲覧
下図の通り、モックデータが格納されていることがわかります。ここに追加のデータを格納してみましょう。SQLアイコンをクリックして、SQLコンソールを開きます。
SAP HANA Database Explorerでのデータ閲覧
下記SQLを記入し、実行するとデータが挿入されます。
INSERT INTO ”<スキーマID>"."JOBRECORDER_JOBRECORD" ("ID","EXECUTEDBY", "EXECUTEDAT", "CONTENT") VALUES ('3bf6ef80-f81e-442e-9fa9-b1c9d53ff3cb','SAP HANA Database Explorer', '2024-01-09 15:46:36.000000000', 'SAP HANA Database Explorerにより追加されました');
SQLコンソールによるデータの挿入
データを更新すると、2行目にデータが追加されていることが確認できます。
挿入されたデータの確認
前回のブログでアクセスしたサービスのURLをチェックしてみましょう。同様に、追加のデータが返却されることが確認できます。
ODataサービスからの追加データの確認
3. POSTMANからのデータ操作
最後に、このAPIを外部から操作してみましょう。今回のCAPバックエンドはSAP BTP上で認証認可を行うためのXSUAAインスタンスがバインドされています。そのため、APIを呼び出すためには認証の設定を行う必要があります。
まずはBTP Cockpitから、対象のXSUAAインスタンスにアクセスし、認証情報を取得します。利用する情報は下記の通り、”clientid”、”clientsecret”、”url”の3つです。
XSUAAインスタンスのサービスキー
これを、POSTMANのAuthorizationタブで認証の種類に「OAuth2.0」を選択し、下記の表の通りに項目をマッピングしていきます。
POSTMANの項目 |
BTPの認証情報 or 定数 |
Grant Type |
Password Credentials |
Access Token URL |
“url” の後ろに「/oauth/token」を付与した値 |
Client ID |
“clientid”の値 |
Client Secret |
“clientsecret”の値 |
Username |
ご自身のユーザーネーム |
Password |
ご自身のパスワード |
POSTMANにおける認証設定
これにより、以下のようにPOSTMANからデータ操作を実行することができます。今回はPOSTMANからデータをPOSTし、それを改めてGETすることで、データ操作の確認を行っています。
POSTMANからのデータ操作の実行
まとめ
本ブログでは前回のブログに引き続き、CAPバックエンド開発の流れをご覧いただきました。HANA Cloudに接続すると、外部からのデータ操作に基づいて動的にデータを保持することが可能となります。今回のブログでご紹介した内容を元に、あらゆるカスタム開発を行うことが可能です。ぜひトライアル環境、社内環境等のSAP BTPの環境を使って、高度に自動化されたBTPでの開発を体験してみてください。