はじめに
近年、注目を集めているローコード・ノーコード開発ツール。
高まるDXの需要によるIT人材不足により、多くの企業がローコード・ノーコードツールを活用して、工数の削減、内製化、市民開発者との共同開発に取り組んでいます。
SAPでは、ローコード・ノーコード開発ブランドであるSAP Buildのもと、SAP Build Appsというローコード・ノーコードアプリ開発ツールを提供しております。
本ブログでは、SAPが提供しているローコード・ノーコードアプリケーション開発ツールであるSAP Build Appsについて、機能紹介から、始め方、開発ステップまでご紹介しております。
*この記事は
2023年12月22日時点の内容となっております。
目次
- SAP Build Appsとは
- SAP Build Appsの始め方
- SAP Build Appsを使った開発ステップ
- 学習コンテンツのご紹介
- 参考ブログ
SAP Build Appsとは
SAP Build Appsは、ドラッグ&ドロップを中心にマウス操作でアプリケーションを開発することができるローコード・ノーコードアプリケーション開発ツールとなっております。
ローコード・ノーコードであるため、プロ開発者はもちろん、市民開発者による開発も想定されております。
SAP Build Appsの特徴は、大きく3つございます。
【直感的なUI・ロジック作成】
- ドラッグ&ドロップで簡単に構築
- 400以上の数式によって、ノーコードで柔軟に開発
【簡易なインテグレーション】
- BTPの宛先機能を活かしたSAP/non-SAPシステムとAPI連携
- セキュリティ・ガバナンス
- SAP Buildブランドの他製品とのシームレスな連携
【テンプレートの活用】
- 複雑な機能もマーケットプレイスから利用可能
- SAP Fioriライクなデザインスタイルに対応
これらの特徴を持つSAP Build Appsですが、すでに様々なユースケースでお客様にご利用していただいております。
続いて、SAP Build Appsの具体的な機能についてご紹介します。
SAP Build Appsは、フロントエンドアプリとバックエンドアプリを作成することができます。
まず、フロントエンドアプリの作成ですが、以下の機能がございます。
【UIの作成】
ドラッグ&ドロップのマウス操作でUIの作成を行えます。また、パラメーターの設定によって、スタイルも柔軟に変更することができます。
【ロジックの作成】
SAP Build Appsでは、各UIコンポーネントに対してロジックを作成します。コンポーネントがクリックされた、入力内容が変わったなどのイベントに基づいて、ロジックが開始します。
ロジックは、ブロックを一連のフローとしてつなぎ合わせることで、ロジックを構築します。
【データ連携】
SAP Build Appsでは、RESTやODataはもちろん、BTPのDestination Serviceを使った連携、SAP Build Appsのバックエンドアプリとの連携が行えます。
【変数】
変数を使用することで、表示させる内容やロジックを動的に変更することが可能です。
【数式】
Excelの関数のような数式がたくさん提供しています。400以上の数式によって、データの変形や計算、検索を行うことができます。
【認証】
Google Firebase、BTP Authentication、3rd partyを使った認証など、さまざまな認証に対応しています。
【ヒストリー】
アプリ開発のログがヒストリーとして履歴に残ります。チーム開発を行う際に使用したり、ロールバックする際に利用していただけます。
【デプロイ・プレビュー】
SAP Build Appsでは、Webアプリ、モバイルアプリをプレビュー、デプロイすることができます。
上記の機能を組み合わせることで、ノーコードで柔軟にアプリケーションを開発することができます。
続いて、バックエンドアプリの作成についてです。
【エンティティ】
エンティティでは、データモデルをノーコードで作成できます。
【ファンクション】
データの処理に関して、ロジックを作成することができます。また、SAP Build Appsのフロントエンドアプリからファンクションを呼び出すことが可能です。
【デプロイメント】
バックエンドアプリでは、接続しているフロントエンドとの互換性をチェックしながら、デプロイを行うことができます。また、履歴が取られており、ロールバックすることが可能です。
SAP Build Appsの始め方
SAP Build Appsのサービスの有効化の方法は、ブースターを使った自動設定と、手動による設定の2つの方法がございます。
また、SAP Build Appsを使うには下記の事前準備が必要です。
- BTPアカウントの取得
- サブアカウントの作成とCloud Foundryの有効化
- SAP Cloud Identity Authenticationの有効化
詳細については、下記のヘルプを参考にしてください。
SAP Help Portal - SAP Build Appsセットアップ
SAP Build Appsを使った開発ステップ
初期セットアップを行った後は、以下のステップで開発を進めていきます。
*各ステップの右側に参考として対象ユーザーを記載しております。
1. 要件の洗い出し<業務ユーザー><開発エンジニア>
日々の業務で不便に感じる業務を見つけ、さらにはあるべき理想像と実現するための要件を考えます。
2. アーキテクチャの設計<業務ユーザー><開発エンジニア>
洗い出した要件をもとに、アーキテクチャを考えます。ここでも開発エンジニアだけでなく、業務ユーザーも一緒にUIや機能を考えます。
3. BTPで宛先の設定<開発エンジニア>
アーキテクチャが完成したら、アプリケーションの開発に進む前に、BTPに接続するシステムの宛先を登録します。
SAP Help Portal - 宛先サービス
4. データ連携<開発エンジニア>
SAP Build Appsで、作成した宛先を使ってデータ連携の設定を行います。
5. UIの作成<業務ユーザー>
続いて、UIの作成を行います。設計書をもとに作成するだけでなく、随時プレビューで利用しながら、その都度、使いやすいようにアップデートします。
6. ロジックの作成<業務ユーザー>
UIが完成したら、各UIコンポーネントに対するロジックを作成します。ここで、業務ユーザーだけでなく、開発エンジニアと共同しながら開発を進めていきます。
7. デプロイ<開発エンジニア>
アプリケーションが完成したらデプロイを行います。
8. ①へ戻りブラッシュアップ<業務ユーザー><開発エンジニア>
作成したアプリケーションを利用する中で、改善点が見つかれば、また①へ戻りブラッシュアップを行います。ノーコードでは、アジャイル開発できる点も大きなメリットになっています。
学習コンテンツのご紹介
ぜひ、こちらの学習コンテンツを参考にしながら開発してみてください。
はじめは、下記のチュートリアルをお勧めします。
Developer Tutorial - Create an Application with SAP Build Apps
参考ブログ
SAP Build AppsのSandbox環境を触ってみた!
SAP Inside Track Tokyo 2023 「ここが変わった!SAP AppGyver → SAP Build Apps」
SAP Build Appsで簡単なフルスタックアプリを作ってみた フロントエンド編
SAP Build Appsで簡単なフルスタックアプリを作ってみた バックエンド編
CSV import for SAP Build Apps
Unboxing: Application Backends in SAP Build Apps (Entities)
Unboxing: Cloud Functions in SAP Build Apps
まとめ
本ブログでは、SAP Build Appsの機能紹介から、使い始め方、開発ステップまでご紹介しました。
SAP Build Appsは非常に直感的に開発が行えるツールとなっていますので、ぜひこれを機にSAP Build Appsを使ってみてください。