
Signavioについて詳しく知る機会があり、このツールは便利だなと思ったので学んだことをOutputします。
S/4HANAの導入は、昨今はお客さんのAs-Isの業務ベースではなくSAP Best Practiceベースで導入することが増えてきました。
とはいえBest Practiceの流れをそのまま加工することなくお客さんにFitできるわけでもなく、多少の変更は不可避と言えます。そうすると必然的にBest Practiceのフローを編集する必要があります。Best PracticeはBPMN形式でExportが可能ですが、Exportしたファイルをツールで加工できればよいのにと思っていました。
このブログでは、SAPのBest PracticeのフローをSignavio Process ManagerにImportして見栄えを改良してみようと思います。
ビジネスプロセスを管理するための仕組みです。プロセスマイニングツールと呼ばれるものです。
業務プロセスをマイニングする(採掘する)ことでボトルネックになっている部分を発見することを主眼としています。
BTPのBuildやIntegration Suite等と同じように、複数の機能をひとまとめにしたSuite Solutionで、Suite製品としての名称は"SAP Signavio Process Transformation Suite"です。
以下の機能から構成されます。
SAP導入コンサルタントがSignavioを触ると、まずはProcess Managerから深堀りすることになるでしょう。
プロセスフローは、プロジェクトが導入であれ保守であれ最も重要度の高く馴染みのあるドキュメントの一つだからです。
まずはSAP for MEからBest PracticeのフローをExportしてみましょう。
お手持ちのS-IDでSAP for MEにログインします。
↓”Signavio Process navigator”と検索してアクセスします。
Signavio Process navigatorでBest Practiceを探しましょう。
今回は、Sourcing and Procurementで最もスタンダードな「J45 - Procurement of Direct Materials」を使います。
↓Signavio Process navigatorの検索窓で"J45"と入力します。
↓国やEdition, versionごとに表示されます。今回は、Private Cloud版の2022を選択します。
↓ExportのアイコンからBPMNを選択します。
↓拡張子bpmn2のファイルをDLできます。
Signavio(Free Trial版で良いです)にログインします。
最初にCollaboration Hubの画面が開くと思うので、右上の9点リーダー(?)からProcess Managerを選択。
↓Signavio Process ManagerのExploror画面が開くので、画面上部のImport/Export>Import BPMN 2.0XMLを選択します。
ちなみにBest Practiceを取り込むにはZipファイルとbpmnファイルの形式がありますが、Free Trial版ではbpmnファイルしか無理みたいです。
さっきLocalに落としたbpmnファイルをImportします。
↓フローをImportできたので開いてみます。
SAP for MEで閲覧したBest Practiceと同じフローを閲覧・編集できます。
ここからフローを編集していきます。
さて、BPMN記法の場合、レーンに表現するのは基本的には人(ロールまたは組織)のふるまいですが、
SAP導入で作る業務フローではシステムの動きも一つのレーンに表現する傾向にあります。
特にSAPが外部とのシステムとバックグラウンドでIFしているような場合には、SAP-外部システムのふるまいをフローに表現したくなると思います。
BPMN記法のフローではそうした表現はあまり見ませんが、わかりやすさを重視するのであればそうしても問題ないと思います。
このレーンにDataObject>Data Store(よくあるドラム缶マーク)を置いて、伝票を登録するタスクから点線をつなぐことで、伝票登録によってできるデータを明確にします。
後述するCustom Attributeとどちらを活かしてもよいですが、仕訳が発生するタスクにはText Annotationで仕訳も表現してみました。
また、バックグラウンド処理は人のレーンではなくS/4HANAレーンに置くことで、「人が操作しているのではない」ということが一目でわかるようになります。
自動仕訳はSAP導入のフローで表現する要素としては重要になります。そのためタスクのいずれかのAttributeに記述したいところなのですが、標準のAttributeには仕訳を入力する専用のものがありません。
なのでカスタムのAttributeを作ってそこに仕訳の情報を書きましょう。
一旦フローの編集画面からExplororに戻って、そこからSetup>Define Notations/attributesを選択します。
↓Modeling Language>Business Process Diagram(BPMN2.0) > Diagram Element Type>Task > Custom AttributesでAddを選択
↓こんな感じでAttributeを作成します。仕訳の貸借を表現するため、2 Colmnあるテーブル形式にしてみました。
↓仕訳が発生するタスクを開いて、登録したAttributeから仕訳を登録します。
あともう一つのCustom Attributeとして、FioriAppIDないしTCodeを作ってあげます。
(BPMNファイルに含まれてて、BestPracticeのフローをImportすれば勝手に入ってくれたらいいのになと思っていましたが、そこまではできないみたいです。)
↓こんな感じでSingle LineのテキストのAttirbuteを作ってFioriAppIDを入れ込んでみました。
標準のJ45のフローでは、取引先とやりとりする帳票およびそれを送受信する媒体も表現されていなかったので、Data Objectから帳票のアイコンを出して「メールで帳票を仕入先に送付している」ことを表現してみました。
標準のTaskはAttributeのTaskTypeが"User"ですが、バックグラウンド処理は"Service"にしてあげることで、人とシステムの区別を明確にします。
必要に応じて、
等を登録または不要なら削除していきましょう。
今回は、発注登録する前に在庫数は確認するレポートを参照するタスクを追加してみました。
↓Exploreの画面でPDF出力が可能です。
下に流れていく(Vertical)か 横に流れていく(Horizontal)はお好みだけど、今回は横に流れていくパターンで作ってみました。
ただPDFだとAttributeが見られないので使いづらいですよね。SignavioがWebのツールなので、フローの閲覧もツールでやった方がよいかと思います。
Exproreの画面からShare>Publish to SAP Disnavio Process Collaboration Hubを選択します。
次の画面でPublishすると、Exploror画面で地球のマークが確認できます。
こうすることで、Collaboration Hub側でフローを閲覧可能になります。
タスクをクリックすることでAttributeの値もすべて閲覧することができます。
長いテキスト属性も問題なく表示できるUIとなっているので、エクセルでフローを作っていた時のようにタスクの説明が長くなってしまったがためにフローの見た目を調整する、みたいな無駄な作業が無くなりますね。
もしSignavioで作ったフローで導入時のプロセス説明を行うのであれば、ファイルをExportするのではなくCollaboration Hubの画面で説明したほうがわかりやすいのかなと思いました。
作成したフローおよびタスクに記述したAttributeを、プロセス記述書としてExportすることができます。
タスクの属性を、プロセスフローと同じシステムで管理できるのは便利ですよね。
↓エクスポートしたファイルはこんな感じです。
このままだと体裁が味気ないので整えたいですよね。
テンプレートの編集ができるようですが、残念ながらトライアル版では対象外のようです。
またテンプレートを編集できたとしても、機械的にWordにエクスポートしたファイルだと、資料の細部にこだわりを要求する日本のお客さんにはどうしてもうけいれてもらえない可能性もあると思います。
そのため、プロセスフロー自体はSignavioで記述して、タスクの説明・仕訳やシステム連携の仕様についてはWordで管理するのも手だと思います。
プロセスフローさえあれば、ProcessInsightで行うような分析はできる(はずな)ので。
SAP Best PracticeのフローをSignavioで加工する流れを解説しました。
無料トライアルでもそれなりのことができるので、ぜひ使ってみてください。
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