はじめに
S/4HANA Cloud の Public Edition の導入を検討する際、標準機能として様々な承認ワークフローが用意されてはいるのですが、じゃあそれ以外の承認ワークフロー要件はどう実現するの?というところが課題になったりします。
これまでも、SAP BTPにはワークフローの機能がありましたが、最近そのあたりが SAP Process Automation に進化したということで、使い勝手を試してみたいと思いました。
SAP Process Automation には、RPAの機能も統合されており、ノーコードでプロセスを自動化して便利に使いたいな、という市民開発者の要望にうってつけです。
今回は下記のチュートリアルを通じて体験した Process Automation 実装のレポート(ただの感想文)をお届けします。
Build Your First Business Process with SAP Process Automation
感想は、ひとことで言うと、「とっても簡単」でした!
※この記事は
chillSAP 夏の自由研究2022の記事として執筆しています。
始め方
現在、SAP Process Automation の無料トライアルについては、trial 環境ではなく、Free Tier 環境での提供となっています。
SAP Process Automation: Free Tier Availability
Get Free Access to SAP Process Automation
また、日本での個人用Free Tierの提供はまだのようです↓
https://twitter.com/tami62496318/status/1550820128090357760
年末にしくじったばかりなので、Free Tierを触るのはどきどきですが、今度は慎重に行きたいとおもいながら始めました。
やさしさ①:安全安心なブースター
そんな私が最初に嬉しかったのは、Free Tier用のブースターが用意されていたことです。
チュートリアルの手順通り、「free(無償)」で検索すると、この無償版のみが表示されるので、誤って有料版を押す危険性はとても少ないです。
特にエラーもなくすんなり設定できたので、初期設定の手間をかけることなくいきなり使い始めることができました。
やさしさ②:UIがほぼ日本語
次にうれしいのは、日本語のUIがちゃんと用意されていることです。
市民開発者としては、色々どきどきな中で開発している訳で、やはり、言語は日本語で表示されている方が安心ですよね…!
プロセス名や、フォーム名も日本語でつけてしまって問題なしでした。(IDは英字で設定する必要あり)
やさしさ③:フォーム作成がかんたん
先日、ローコードノーコードハッカソンに参加して AppGyver で画面の開発をしていたのですが、それと同じくらいの気軽さで、圧倒的にシンプルな部品で、申請フォームが作れます。
前のフォームでセットした値を引き継いで、表示項目として通知画面を作るのも、かなり直観的にできました。
プロパティで読込専用フラグをONにして
別のフォームの入力項目とマッピングするだけです。
やさしさ④:リリース時のバージョンのルールは考えなくてOK
開発のシロウトとしては、リリースするとき、バージョンを入力する項目があっても、「ど、どうしたら…?」となります。(SAP Integration Suite でよく聞かれる…)
なので、このように聞いてくれて、答えによって勝手に採番してくれる仕組み、とても良いなと思いました。
バージョンは x.y.z 形式で、x はメジャーバージョン番号、y はマイナーバージョン番号、z はパッチ番号です。リリースするたびに、新しいバージョンが作成されます。バージョンは、メジャーアップデートやマイナーアップデート、パッチなど、リポジトリに変更を保存する方法に応じて自動的にインクリメントされます。
(チュートリアル内の説明)
やさしさ⑤:テストもかんたん
デプロイすると、URLが生成されます。
ブラウザにこのURLを直接入力するだけでワークフローを開始できます。
作成した注文入力フォームが表示されました。
入力して送信すると、受信ボックスに承認依頼が届きます。
S4HCのメニューにタイルとして表示したりもしてみました。
もやもや①:ワークフローの事前定義シナリオ
SAP製品を使うと素敵なところは、SAPで役に立つ事前定義シナリオがあるところです。
ストアのタブから、事前定義シナリオにアクセスできるので、Live Process (事前定義ワークフロー)をインポートできるかと思いきや…
エラーになってしまいます。
Import of live process package failed.
このエラーは以下の理由で発生する可能性があります。
Ensure that you have an entitlement for SAP Workflow Management to import a package.
こちらは、旧来のワークフロー管理のサブスクリプションが必要そうな感じです。
(事実確認はできてませんが)
ビジネスパートナー登録の承認プロセスをインポートして使いたいところです。ここは引き続き研究。
もやもや②:日付項目のカレンダ表示がなんかヘン
日付の選択ボタンを押して出てくるカレンダーが、なんかくどい!
ブラウザを英語設定にすると日が消えるので、なんか日本語用の親切設定が余計なお世話になっている感があります…
さいごに
新しい Process Automation は、思った以上にとっつきやすい素敵なワークフローツールに進化してるんだなと思いました。
RPAもセットで、っていうのがお客様にプッシュしやすそうだし、可能性を感じてます。
今回はRPAのところまで見れてませんが、次は別のチュートリアルでやってみたいと思います。
Boost your Business Process with Automation, Decision and Process Visibility
Invoice Processing and Approval Using SAP Process Automation