1年ほど前に正式リリースされたSAP Cloud ALM、気づいたら、どんどん進化していておもしろいです。
SAP Cloud ALM とは?
ざっくりいうと、
導入時にタスクや要件やテストの管理をしたり
運用時にビジネスプロセスやシステム統合、ジョブの監視ができたり
それらを事前に用意された分析画面で見やすく管理できたり
するソリューションです。
VIDEO
ALMの良いところは、Enterprise Supportの契約があれば、無料で使えること。
気づいたら進化していたのは、
S/4HANA Cloud public だけでなく、privateやオンプレもサポートしている
パートナーのカスタマ番号でも申請 したらALMの本番環境が使える(もしかしたらこれは、うちがConcurを本番利用しているせいかもしれないです。未確認)
無料の共有デモ環境 も使える
設定のビデオシリーズ が充実
それぞれの機能が少しずつパワーアップ
あたりです。
今回は
chillSAP 夏の自由研究 2021 のチャレンジとして、Operations のビジネスプロセス監視を設定してみました。
すでに日本語でちゃんとした記事が出ていましたので、この記事はあくまで私のチャレンジということで、ぜひこちらのBlogも合わせてお読みいただけたらと思います。
参考資料
ALMには導入時に使う Implementation と、運用時に使う Operations があるのですが、Operations は、すでに Expert portal が見やすく充実しているので、こちらを参考にします。
https://support.sap.com/en/alm/sap-cloud-alm/operations/expert-portal.html
※Implementation の
Expert Portal はまだ建設中の感がありますが、こちらの
Blog からYouTubeの設定動画プレイリストに行けますし、
openSAP にも設定デモがあり、参考になります。Implementationの「設定してみた」記事も書きましたので、よろしければ
こちら もお読みください。
設定してみる
設定の流れは、
BTP 上で、SAP Cloud ALM の サービスキーを発行する
サービスキーの内容をもとに、S/4HANA Cloud の通信契約を設定する
だけです。
参考URL:
Setup for SAP S/4HANA Cloud
S4HC側でプッシュ通知の通信設定をしたら、ALM側は何も設定なしで監視が始まります。簡単です。
とはいえ、BTP初心者な私は、サービスキーを発行する
動画 の中でさらりと語られていた
「インスタンスが存在していない場合は、作成を押してインスタンスを作成します」
のステップで、インスタンスが作成できず、即つまづきました…
ヘルプにはより親切な記載があったので、助かりました。
権限のところからサービス計画を設定しないと、そもそもインスタンスが作成できないんですね。
SAP Cloud ALM APIの有効化
S/4HANAオンプレでのセットアップ手順も、 Expert Portal に記載されています。
https://support.sap.com/en/alm/sap-cloud-alm/operations/expert-portal/setup-managed-services/setup-a...
やはりオンプレだと、バージョンの制約が出てきますね。
ビジネスプロセス監視でできること
事前定義されたKPIに基づき、ビジネスプロセスの状況を一目で確認できます。
たしか Solution Manager にもこういう機能がありました。
かつて「システムの健康診断です」とお客様に説明していた記憶がありますが、そんなかんじです。
KPIの例
受注から入金
それぞれのタイルをクリックすることで、伝票番号までドリルダウンすることができます。
調達から入庫
請求書から支払
それぞれのKPIの意味が知りたい場合、i のマークをクリックすると説明が表示されます。親切。
KPIの数字を出すとこまでは、接続設定のみで行けるのが手軽でありがたいです。
例えばサービスイン直後に、どれだけデータが入ってきているか日次でウォッチしましょう、となった場合にも、このKPIのダッシュボードをみんなで見ればよさそうです。
それぞれのKPIにしきい値を設定してアラートを表示したり、アラートが発生した場合にメール通知をする、といったこともALMで設定可能です。
そのあたりは、運用保守でいろいろ見えてきた頃に、必要なところから設定していって、管理者の負担を減らすのが良いかなと思いました。
Operations その他の機能
リアルユーザ監視(ユーザによるシステムの利用状況やパフォーマンスを監視)や、
ジョブ監視(ジョブの実行状況を監視。S4HC publicのみ)
は、ビジネスプロセス監視と同じ要領で、もうひとつ通信契約を設定すれば監視が始まります。
システムの統合監視(iFlowの実行結果を確認)をする場合は、
Integration のBTPでサービスキーをダウンロード
Cloud ALM のランドスケープ管理でエンドポイントを設定
のステップで監視ができます。
ほかにも、iRPAの実行管理ができる機能もあるようです。
まとめ
個別にあれこれ細かく設定する必要なしに、事前定義された良い感じの分析画面を出してくれるところが、使いやすくて便利なソリューションだと思います。
しかも無料。
しかも着々と機能アップデート中。
今後の S/4HANA Cloud の運用保守に有効活用して、みんなで楽をしたいものです!