* この記事は
SAP Advent Calendar 2021 の12月9日分の記事として執筆しています。
はじめに
このブログでは、ビジネスとテクノロジーがどう融合しているのかという観点に立ち、先月開催されたGlobalのTechEdに少し触れながらBTPを取り上げてみたいと思います。最近のSAP界隈ではビジネス面とテクノロジー面の双方からたくさんのUpdateがあるため、今回は自分の頭の整理も兼ねてアウトプットしてみたいと思います。
SAP TechEd 2021
昨年に引続き、2021年11月のTechEdもオンライン開催となりました。昨年の経験があるため今年はスムーズに参加することができました。誰もが参加できるようになったオンライン開催。今後も現地開催と並行してオンライン開催も継続してほしいなと思います。
Globalのイベントサイトはまだしばらくはアクセスできそうです。
まず本題に入る前に、今年のTechEdを盛り上げたサブトピックについて触れてみます。コロナ禍で迎えたTechEdの25周年。お祝いムードこそありませんでしたが、Business Technology Platform(以降BTP)躍進のトレンドを受け、開発者に脚光があたるTechEdとなりました。そしてTechEdのプレイベントDEVTOBERFEST。技術講演、自己学習、コーディング課題などを通して、様々な分野で開発技術が磨かれたようです。さらにDeveloper Keynote。パロディ仕立ての2時間番組になっており飽きずに楽しめました。Channel1もNonStop放送。ということで、TechEd本編が色々な角度から彩られていました。
それでは本編のTechEdはどのような内容だったのでしょうか?記憶が新しいうちにさわりだけアウトプットしてみます。
まず、冒頭に登場したキーワードが印象的でした。
・Intelligent Sustainable Enterprise
・Business Application
・Business Technology Platform
Sustainabilityは昨年のTechEdでも、そして今年のSAPPHIRE NOWでも強調されたのでその流れを汲んだ表現と捉えています。Application領域にも触れてはいましたが、話題は終始BTPとなりました。テクノロジー提供を通して、Pandemic | Climate Change | Inequalityという社会課題を解決支援するとCTOのJuergen Muellerから力強いコンセプトが語られました。
今年は開発領域を中心とした発表が相次ぎましたが、中でも特に意義を感じたのは
BTP Free Tier Modelの発表と
SAP Learning(7つのBTP無償学習サイト)の新設だったように思います。
振返ると、昨年のTechEdでもBTPはハイライトされており、”Empowers Developer”ということで、このBTP領域に開発者を呼び込むメッセージが色濃く出されていました。同様のメッセージは今年のTechEdでも繰り返され、世界の開発者をBTP領域に呼び込むことに苦心している様子が伺えます。上記2つの発表に伴う学びのOpen化により、ようやく間口がCitizenにまで広げられた印象です。BTP人口が広がるかどうかが、更なるBTP発展のポイントになりそうです。他にもLow-code/No-code開発、S/4HANA Cloud(Public)上でのSteampunkなど、開発に関する話題が目白押しでしたが、SAPのテクノロジートレンドの多くは引続きS/4HANAコアの外側で形成されていることを実感します。
恐らくSAPさんがKeynoteの内容を分かりやすく解説下さるリンクが出る(ある?)と思いますので、内容詳細は割愛させて頂きます。
RISEの中のBTP
さて、ここからアウトプットの本題に入ります。ビジネスとテクノロジーは表裏一体の関係。ビジネス面ではRISE with SAP(以降RISE)がすっかりお馴染みになっています。2021年2月の発表から現在に至るまで、なおも進化を続けているためその一挙一動は見逃せません。とは言え、基本形は定着しているのでそれを基に見ていきます。ご存じの通り、RISEはS/4 HANA Cloud+4つのバンドルコンポーネントから構成されており、BTPはこのRISEの一角に含まれています。
RISEのBTPは、ライセンス契約金額に応じたCPEAクレジットが付与されるので、その範囲内であれば追加コスト無しで活用できる仕組みになっています。ただ、全てのBTPが使えるわけではなくCPEAが適用できるものに限られています。
2021年12月現在、
Discovery Centerで確認すると、BTPの総数93に対してCPEAが使えるものは80個。そのうちFree Tierモデルが適用できるものは26個となっています。
例えば、Free Tierを使って個人視点での感触を確かめ、CPEAを使って企業視点で有用性を検証し、それをそのまま本格利用にスイッチするという使い方ができれば、サービス提供するベンダーにとっても、サービス利用するユーザーにとってもハードルを下げたBTP活用の促進ができそうです。また、BTPはSAP経験がなくてもダイブしやすい領域でもあります。今回OpenになったFree TierとSAP Learningを入口として使い、SAP/Non-SAPという枠を超え、人材確保や共創促進につながればと妄想しています。
RISEはS/4HANA Cloud移行だけでなく、その後のInitelligent Enterpriseへの道を切開くパッケージですので、ビジネスとテクノロジーを融合させる工夫ができると広がりが見えてきそうですが、BTPは幅が広いです。例えば、移行が終わる頃には何をTransformationしていくのかというアジェンダが出ているはずなので、そこを見据えて活用が見込めるBTPから着手する。または、今現在保有するNon-SAPテクノロジーエッセンスをSAP版にも広げてバンドルする、などの工夫です。
また、参考情報までとなりますが、BTPのGo to Market事例がTechEdのPARトラック(
PAR102)で簡単に紹介されています。BTPはRISEのバンドルとして使用する以外にも、SAP Storeでソリューションを直接サブスク販売したり、Qualified Partner Package Solutionとして認定を得てサービス展開したりと、先行する海外での活用事例は参考になります。SAP Expertの支援をもらいながらGo To Marketができる#Hack2Buildという取組みがあるので、日本でもより頻繁に開催されるといいなと願っています。
おわりに
ビジネスとテクノロジーの融合という観点で、RISEとBTPの関係に触れてみました。日本でのBTP活用事例が活性化し、コミュニティも益々賑わいますように。少し早いですが、今年の書き納めとさせて頂きたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。