本ブログシリーズはSAP Analytics CloudのPlanning機能をこれから学ぶ方を対象とし、予算計画などの一連の予算管理業務に必要なSAP Analytics Cloudのそれぞれの機能の特徴や要点をご紹介します。
※機能の詳細ついてはSAP Help Portalを参照ください。
※ SAP Analytics Cloudは、四半期に1度のペースで製品のバージョンアップが実施されます。そのため今後のバージョンアップにより、本ブログで紹介する画面キャプチャや、操作が異なる可能性があることをご了承ください。(本ブログは2023年12月に作成しています。)
本ブログではSAP Analytics Cloudでの通貨換算機能についてご紹介します。
目次:
SAP Analytics Cloudでの通貨換算の概要
SAP Analytics Cloud for planningでは、取引通貨→会社コード通貨やローカル通貨→グループ通貨など、要件にあわせた通貨換算を自由に定義することができます。
グローバルな事業展開を行う企業にとって、各国の通貨を基準通貨(本社の所在する国の通貨など)に換算して予算計画を立てられることは大きな利点であり、国際的なビジネスの透明性と一貫性が向上します。
SAP Analytics Cloudで通貨換算を行う場合は、まず換算を実行したいモデルの推奨設定から通貨換算をオンに変更する必要があります。また通貨レートテーブル(通貨換算テーブル)の指定や日付ディメンションの指定もこの設定画面から行います。
通貨換算テーブル
通貨換算テーブルとは、SAP Analytics Cloud上での通貨換算で使用される為替レート情報が定義されているテーブルです。
通貨換算テーブルの項目は以下の通りですが、換算元通貨から換算先通貨へどのレートで通貨換算を行うかの情報が管理され、実際の通貨換算時にはこちらのテーブルを参照して計算が行なわれます。
通貨換算テーブルの登録はマニュアル更新のほか、ファイルアップロードやSAP BPC、SAP BW/4HANAからのデータ連携も可能です。通貨データのインポート方法についてはSAP Help Portal:通貨換算データのインポートをご参考ください。
不足レートの追加機能
通貨換算の対象となるデータをチェックして、換算する通貨の組み合わせが通貨換算テーブルにない場合、不足しているレートを知らせてくれる機能が用意されています。不足レートの追加はモデル、ストーリー、通貨換算テーブルから行うことができます。
換算ルール
通貨換算を行うにあたって、個別に換算先のメジャーで設定しなければいけないのが換算ルールです。
換算ルールで設定する項目は以下の内容です。
SAP Analytics Cloudでの通貨換算方法3タイプ
SAP Analytics Cloudでは、通貨単位やメジャーの金額のデータを基にして、以下の3つの方法で通貨換算を行うことができます。
それぞれの特徴と設定方法についてご説明します。
換算メジャーの使用
換算メジャーは、通常のメジャーとは異なり、通貨換算を行う際に使用できるメジャーを使用して通貨換算します。モデル内の計算タブから登録を行います。作成した換算メジャーは他のメジャーと同じく、ストーリー上で選択/除外を行えます。
設定した換算メジャーは、ストーリー実行時に計算されるため、値はモデルには保存されません。
換算メジャーはモデル内の「計算」ワークスペースから設定することができます。換算メジャーを作成した後は、プロパティ欄で換算ルールを設定します。
作成した換算メジャーは通常のメジャーと同様にテーブルの項目として表示することができます。
※2つのメジャーを表示するには、行・列項目からディメンションの追加を選択し、メジャーにチェックを入れます。
クロス計算通貨換算
クロス計算通貨換算は、ストーリー上で作成される通貨換算のためのメジャーを使用して通貨換算します。設定した通貨換算用の計算メジャーはストーリーを実行した時に計算されるため、値はモデルには保存されません。
クロス計算通貨換算を設定するには、テーブルのビルダパネルからメジャーの項目を選択し、計算追加を押下します。
計算エディタに遷移した後は、通貨換算タイプを選択し、ソースメジャー(通貨換算を行いたいメジャー)と目標通貨を選択します。
作成したストーリー上での通貨換算用の計算メジャーは、通常のメジャーと同様にテーブルの項目として表示することができます。
データアクションを使った換算
データアクションを使った換算は、データアクションで用意されている通貨換算ステップを使用して換算を行う方法です。作成したデータアクションを実行することで、通貨換算が行なわれ、換算後の値をモデルに保存することができます。
データアクションを使った換算を設定するには、まず、通貨換算後の値を格納するための通常のメジャーをモデラから追加作成する必要があります(①でご紹介した通貨換算用のメジャーではなく、通常のメジャーです)。
モデル構造のメジャー欄から新規メジャーを追加します。メジャーの設定画面では、単位タイプとして通貨を選択し、通貨やレートタイプを指定します。
以上で新規メジャーの作成が完了しました。この後は作成したメジャーに通貨換算した値を格納するためのデータアクションを作成します。
データアクションの作成方法はこちらのブログをご参照いただきたいのですが、通貨換算ステップの場合、変換ルールの項目には、開始に元通貨、終了に目標通貨を入力します。
データアクションの作成が完了すると、通貨換算が実行可能になります。
データアクションは
の3つの実行方法があります。実行方法の詳細についてはこちらのブログをご参照ください。
以下のキャプチャは手動実行した際のストーリー画面ですが、通貨換算した値が作成したメジャーに格納されました。
【まとめ】3つの通貨換算方法の使い分け
SAP Analytics Cloudでの通貨換算の方法として3タイプをご紹介しました。
①の換算メジャーを使用した方法は、モデル上でメジャーを追加していることから、複数のストーリーで通貨換算を使用することが可能です。ユーザやストーリー横断で必要となる基本的な通貨換算要件に適している方法です。
②のクロス計算通貨換算はメジャーをストーリー単位で作成するため、ユーザ自身の簡易的な通貨換算シミュレーションに適しています。
③のデータアクションを使った換算は、通貨換算後の値をモデルにメジャーとして保存できることが特徴です。そのため、換算後の数値は高度な式で参照/更新したり、S/4HANAへエクスポートすることができます。最も柔軟性の高い通貨換算手法です。
それぞれの通貨換算方法の特徴については以下の表をご参考ください。
終わりに
今回はSAP Analytics Cloud for planning概要のご紹介でした。SAP Analytics Cloudは予算計画などの一連の予算管理業務に必要な機能を備えており、本ブログシリーズではそれぞれの機能の特徴や要点をご紹介しています。こちらのリンクからご参照ください。
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