はじめに
このブログでは温室効果ガス(GHG)の排出量をサンプルにSustainability Control Towerへのデータインポートあるいはデータ入力、データの可視化の手順を紹介します。
Sustainability Control Towerの超概要については、
こちらの動画(11:00くらい~)をご覧ください。
アーキテクチャ
Sustainability Control TowerはBusiness Technology Platform(BTP)上で提供されるSaaSソリューションで、ESGパフォーマンス管理を行うためのプラットフォームです。

Sustainability Control Towerのバックエンドのアーキテクチャイメージは以下のようになっています。DPI(Data Provider Interface)と呼ばれるインタフェースを介して、CSVファイルあるいは接続されているシステムからデータを中間テーブルにインポートします。その後にデータチェックを行った後に永続化領域のテーブルにデータを更新します。
期間固有データのベクトルテーブルはディメンジョンテーブル、データポイントテーブルはファクトテーブルのようなものです。

本ブログでは、データをインポートするために、以下の1)~4)の手順が頻繁に登場しますが、以下の内容となります。
DPIを経由してローカルPCからCSVファイルを中間テーブルにインポートします。
中間テーブルにインポートされたデータをチェックします。
上記データチェックの結果をレビューします。
チェック済の中間テーブルのデータを永続化領域のテーブルに更新します。期間固有データはベクトルテーブルとデータポイントテーブルに対してそれぞれ更新しています。
また、クリーンアップ処理がある場合は、中間テーブルからのデータ削除を意味しています。
本ブログの対象のメトリクス
このブログでは、Sustainability Control TowerでSAPから提供されているメトリクスのうち、以下の温室効果ガス(GHG)の排出量を対象にします。
- GHG 総排出量 - スコープ 1
- GHG 総排出量 - スコープ 2 市場ベース
- GHG 総排出量 - スコープ 2 ロケーションベース
- GHG 総排出量 - スコープ 3
- GHG 合計総排出量 - ロケーションベース
- GHG 合計総排出量 - 市場ベース
※以前はGHG 総排出量 - スコープ 2とGHG 合計総排出量がありましたが、現在はスコープ2が市場ベースとロケーションベースに分割されたため、利用できなくなっているので、注意してください。スコープ2のロケーション基準と市場(マーケット)基準については、
GHGプロトコル・スコープ2ガイダンスのチャプター4を参照してください。
データの種類
Sustainability Control Towerの温室効果ガス(GHG)の排出量のデータの種類は以下の4種類が存在します。データの種類については、
ヘルプのコンセプトを参照してください。それぞれデータインポートあるいはデータ入力方法が異なるため、注意してください。特に実績については、利用しているシステムによって複数のソースシステムから温室効果ガス(GHG)の排出量データが連携される可能性があります。
データの種類 |
分類 |
データインポートあるいはデータ入力方法 |
マスタデータ |
マスタデータ |
Data Provider Interface(DPI)経由CSVファイル
FioriのGHGレコーディングタイル* |
目標 |
期間固有データ |
Data Provider Interface(DPI)経由CSVファイル |
実績 |
期間固有データ |
FioriのESGデータ管理タイル
FioriのGHGレコーディングタイル*
SAP Datasphere連携
Sustainability Footprint Management(SFM)連携*
Environment、Health、Safety(EHS)のEM(Emission Management)連携* |
野心的目標 |
N/A |
Fioriの野心的目標タイル |
他のメトリクスもデータの種類は共通ですが、データインポートあるいはデータ入力方法について*がついているものは温室効果ガス(GHG)の排出量固有です。
本ブログでは、Sustainability Control Towerで共通的に利用可能なCSVファイルからのデータインポートあるいはデータ入力方法について紹介します。SAP Datasphereからのデータ連携や温室効果ガス(GHG)の排出量固有の方法については別のブログで紹介します。
FioriのGHGレコーディングを使用した温室効果ガス(GHG)排出量の入力
SAP Datasphereを使用したESGデータの連携
Sustainability Footprint Management(SFM)を使用したカーボンフットプリントデータの連携
Environment、Health、Safety(EHS)のEM(Emission Management)を使用したカーボンフットプリントデータの連携(今後リリース予定)
マスタデータのインポート
Sustainability Control Towerのマスタデータのデータインポート方法について、説明します。マスタデータには大きく3つの種類があるので、それぞれ説明していきます。
マスタデータのデータインポートはホーム画面の設定からSCTのインストールおよび設定タイルから実施します。

- CSVテンプレートのダウンロード
SCT設定タブでマスタデータの設定やインポートを実施することが可能です。今回はSAPから提供されているデモデータを使用するので、CSVテンプレートをダウンロードボタンを押下して、デモデータをダウンロードします。

ダウンロードしたZipファイルの以下のフォルダにマスタのサンプルファイルが格納されています。
sct_csv_templates\SCT templates and demo data\SCT Demo Data\Master Data & Configuration

マスタデータを設定ボタンを押下し、CPEのプロセス画面に遷移して、各マスタデータの設定およびインポートをプロセステンプレートを使用して実施します。

- 一般マスタデータ(ヘルプ)
一般マスタデータには、以下の2種類があります。
- ソース:データの発生源をしめすソースのIDを登録します。Sustainability Control Towerではサンプルデータが提供されていますが、サンプルデータ用のソースのIDは「SCT_DEMO」です。必要に応じて、ソースIDを登録します。
- グループ通貨:グループ通貨(例:USDなど)を設定します。グループ通貨には1つの通貨コードのみが設定可能なので、注意してください。金額のメトリクスについては、グループ通貨に換算された後の金額でデータインポートあるいは入力する必要があります。
一般マスタデータのインポートには、Master Data – Generalのプロセステンプレートを使用します。まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1.Data upload、1a Source IDおよび1b Group currencyのプロセスを選択し、Showボタンを押下します。ここでは1a Source IDを例に説明していきますが、2)~4)の手順はどちらのマスタも共通の手順です。

新しいタブが開くので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードしたサンプルファイル「Master data - Source ID - demo data.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データアップロードが完了すると、アップロード内容が画面に表示されます。このタブ自体は閉じてしまって構いません。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、2.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。3.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下はすでにGroup Currencyがすでに設定されている場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

上記で説明したように、グループ通貨は1つのみ設定することが可能です。すでに設定されているグループ通貨を削除するためには、
SCTのデータをすべて削除する必要があります。グループ通貨の設定は慎重に行ってください。
データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistenceを選択し、Runボタンを押下します。

- ドメイン固有マスタ(ヘルプ)
従業員、地球、経済的な成功の3つのドメインがありますが、このブログでは温室効果ガス(GHG)の排出量が含まれている地球のドメイン固有マスタのデータインポート方法を紹介します。
地球ドメイン固有マスタデータのインポートには、Master Data – Planet domainのプロセステンプレートを使用します。まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1.Data upload、Air emission type、Energy CarrierおよびEmission pollution typeのプロセスを選択し、Showボタンを押下します。ここではAir emission typeを例に説明していきますが、2)~4)の手順はどちらのマスタも共通の手順です。

新しいタブが開くので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードしたサンプルファイル「Master data - Air emission type - demo data.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データアップロードが完了すると、アップロード内容が画面に表示されます。このタブ自体は閉じてしまって構いません。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、2.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。3.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下はエラーがない場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistenceを選択し、Runボタンを押下します。

- 標準組織構造(ヘルプ)
標準組織構造(法人、ビジネスロケーション、レポートライン)のデータインポート方法を紹介します。温室効果ガス(GHG)の排出量をSustainability Footprint Management(SFM)からデータ連携する場合、SFM側のロケーションがあらかじめビジネスロケーションとして設定されている必要があります。
ビジネスロケーションのサンプルデータは以下のようになっています。「Business location nodes - demo data.csv」は標準組織構造の各ノード(北米、USA、カリフォルニアなど)が定義されています。「Business location links - demo data.csv」は各ノードと親ノードの関係が定義されています。サンプルデータでは各ノードやリンクの有効期間が1900/01/01~9999/12/31と1つしか定義されていませんが、複数有効期間がある場合には、後続のスナップショット作成でどの組織構造をレポーティングで使用するかを決定します。

標準組織構造マスタデータのインポートには、Standard organization structure- Nodes、Standard organization structure- LinksおよびSnapshot configurationのプロセステンプレートを使用します。
- 標準組織構造ノードのインポート
標準組織構造ノードのインポートには、Standard organization structure- Nodesのプロセステンプレートを使用します。まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1.Data upload、1a Business location nodes、1b Legal entity nodesおよび1c Reporting line nodesのプロセスを選択し、Showボタンを押下します。ここでは1a Business location nodesを例に説明していきますが、2)~5)の手順はどちらのマスタも共通の手順です。

新しいタブが開くので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードしたサンプルファイル「Business location nodes - demo data.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データアップロードが完了すると、アップロード内容が画面に表示されます。このタブ自体は閉じてしまって構いません。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、2.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。3.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下は警告がある場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistence Nodesを選択し、Runボタンを押下します。

データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistence Attributesを選択し、Runボタンを押下します。

- 標準組織構造リンクのインポート
標準組織構造リンクのインポートには、Standard organization structure- Linksのプロセステンプレートを使用します。まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1.Data upload、1a Business location links、1b Legal entity linksおよび1c Reporting line linksのプロセスを選択し、Showボタンを押下します。ここでは1a Business location linksを例に説明していきますが、2)~4)の手順はどちらのマスタも共通の手順です。

新しいタブが開くので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードしたサンプルファイル「Business location links - demo data.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データアップロードが完了すると、アップロード内容が画面に表示されます。このタブ自体は閉じてしまって構いません。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、2.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。3.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下はエラーと警告がある場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistenceを選択し、Runボタンを押下します。

- スナップショットの作成
スナップショットの作成には、Snapshot configurationのプロセステンプレートを使用します。まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1 Persisted snapshots loadのプロセスを選択し、Runボタンを押下します。データベースに格納されている現在のスナップショットが 保存されます。

- 2)スナップショットの作成および有効なスナップショットの設定
本稼働用のスナップショットを作成するため、Snapshots creation and activation – Productionのプロセスを選択してShowボタンを押下します。SAPから提供されているサンプルデータはH_RECORD_TYPE が10(本稼働用)となっています。

新しいタブが開くので、AddからRowを選択して新規のスナップショットを作成します。

スナップショット名称および有効日付、Default snapshotかどうか(有効=1、無効=0)を入力して、Saveボタンを押下します。

以下のスナップショットが作成されました。複数のスナップショットから有効なスナップショットを変更する方法は
ヘルプのケースを参照してください。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、3.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。4.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。
しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下はエラーがない場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

データのチェックでエラーがない場合、マスタテーブルに対してデータを更新します。元のタブで5.Snapshot persistenceを選択し、Runボタンを押下します。

- アップロードしたマスタデータの確認(ヘルプ)
アップロードしたマスタデータの確認はOverview of uploaded master dataのプロセステンプレートで実施します。プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

ここでは一般マスタデータのソースIDを例に説明します。Master Data – GeneralからプロセステンプレートSource IDを選択し、Showボタンを押下します。

事前定義されているマスタも含め、マスタデータテーブルのデータを確認することができます。

目標データのインポート
Sustainability Control Towerの目標のデータインポート方法について、紹介します。目標は
共通のファイルフォーマットを使用して、Data Provider Interface(DPI)経由でCSVファイルでデータをインポートします。温室効果ガス(GHG)の排出量の目標をインポートする場合、以下のID_KEY_FIGUREを使用します。
ID_KEY_FIGURE |
KEY_FIGURE_NAME |
GHG_S1 |
GHG 総排出量 - スコープ 1 |
GHG_S2_MARK_BASED |
GHG 総排出量 - スコープ 2 市場ベース |
GHG_S2_LOC_BASED |
GHG 総排出量 - スコープ 2 ロケーションベース |
GHG_S3 |
GHG 総排出量 - スコープ 3 |
GHG_TOT_LOC_BASED |
GHG 合計総排出量 - ロケーションベース |
GHG_TOT_MARK_BASED |
GHG 合計総排出量 - 市場ベース |
他のメトリクスのID_KEY_FIGUREについては、
ヘルプを参照してください。
以下が目標のデータイメージです(Sustainability Control Towerで提供されているサンプルデータの1行目)。以下の場合は、2019年1月のビジネスロケーション「130101」の目標のGHG 合計総排出量 - ロケーションベースが2,053トンということを表しています。
ID_KEY_FIGURE |
KF_VALUE_CHAR |
ID_UOM |
ID_DATA_CATEGORY |
ID_CATEGORY_VERSION |
PERIOD_TYPE |
PERIOD_MONTH |
PERIOD_QUARTER |
PERIOD_YEAR |
STRUCTURE_UNIT |
GHG_TOT_LOC_BASED |
2053 |
t |
TRGT |
DEFAULT |
M |
1 |
1 |
2019 |
130101 |
ファイルが準備できたら、目標をData Provider Interface(DPI)からインポートします。今回はSustainability Control Towerが提供しているサンプルデータ「sct_csv_templates.zip」に含まれている「Emission TARGET.csv」を使用します。
目標データのサンプルファイルは先ほどダウンロードしたZipファイルの以下のフォルダに格納されています。
sct_csv_templates\SCT templates and demo data\SCT Demo Data\Period Specific Data\Target

サンプルファイルではなく、ファイルテンプレートから目標データを作成する場合は以下のフォルダにあるテンプレートを使用してください。
sct_csv_templates\SCT templates and demo data\SCT CSV templates\Period specific data\Data upload - Targets
- 目標ファイルのインポート
ダウンロードした目標ファイルをインポートするため、ステアリングから対象をアップロードを選択します。

CPEのプロセステンプレートに移動するので、Targets – create new recordsのテンプレートを使用します。プロセステンプレートの使用については、
ヘルプも参考にしてください。

まず、プロセスのステータスがDeployedになっているかを確認します。もしDeployedになっていない場合は、Deployedに変更して保存ボタンを押下します。

プロセステンプレートから1.Data uploadのプロセスを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開くので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードしたサンプルファイル「Emission TARGET.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データアップロードが完了すると、アップロード内容が画面に表示されます。このタブ自体は閉じてしまって構いません。

データアップロードが正常に終了した後に、データチェックを行います。元のタブに戻り、2.Initiation of data validationを選択し、Runボタンを押下します。

データチェックが完了したら、結果をレビューします。3.Review of resultsを選択し、Showボタンを押下します。

新しいタブが開いて、データのチェック結果が表示されます。エラーレコードがある場合、画面にエラー内容が出力されます。以下はエラーレコードがない場合の画面出力例です。結果を確認したら、このタブは閉じてしまって構いません。

ここまででCPEの中間テーブルまで温室効果ガス(GHG)の排出量の目標データがアップロードした状態となっています。次に、ベクトルテーブルとデータポイントテーブルにデータを更新し、永続化します。
データのチェックでエラーがない場合、ベクトルに対してデータを更新します。元のタブで4.Data persistence vectorsを選択し、Runボタンを押下します。

ベクトルに対してデータを更新した後に、データポイントに対してデータを更新します。元のタブで5.Data persistence data pointsを選択し、Runボタンを押下します。

ベクトルおよびデータポイントテーブルに対してデータを更新した後に、次回のデータップロードに備えて、中間テーブルのデータを削除します。もしクリーンアップを実施しなかった場合、手順4)、5)で中間テーブルに存在するすべてのデータが更新されることになります。
元のタブから6.Clean upを選択し、Runボタンを押下します。

これで目標データのインポートは完了しました。
実績データのインポート
Sustainability Control Towerの実績のデータ入力方法を紹介します。ホーム画面のデータ管理および統合からESGデータの管理タイルを選択します。実績データのインポートはESGデータの管理から実施しますが、考え方はこれまでと同様です。データのインポート→データのチェック→結果のレビュー→データの公開の流れでデータを永続化します。

- サンプルファイルのダウンロード
温室効果ガス(GHG)排出量をインポートするために、まずサンプルファイルをダウンロードします。メジャーから二酸化炭素排出量を選択し、プルダウンからサンプルテンプレートダウンロードを選択します。

「EMISSION-EMS_QUANTITY_CO2E-sample-data.csv」がダウンロードされます。サンプルデータを使用せず、テンプレートのみをダウンロードする場合は空テンプレートダウンロードを選択してください。
- データのインポート
メジャーから二酸化炭素排出量を選択し、新しいデータをインポートを選択します。

以下の画面からデータのインポートを選択します。テンプレートファイルのエクスポートはこの画面からも可能です。

CPE画面に遷移するので、Import & ExportからUpload fileを選択します。

先ほどダウンロードした「EMISSION-EMS_QUANTITY_CO2E-sample-data.csv」を選択します。

データアップロード時の区切り文字やヘッダ行のスキップについて確認画面が表示されるので、そのままRunボタンを押下します。サンプルファイルを変更、あるいはカスタムファイルを使用している場合は、適宜変更してください。

データがインポートされると、インポートされたデータが表示されるので、続行ボタンを押下します。

- データのチェック
データのチェックを選択して、データのチェックを行います。

データのチェックが完了したら、エラーログを表示で結果を確認します。以下はエラーがない場合の出力結果例です。

- データの公開
データのチェックで問題がない場合、公開ボタンを押下します。

データの公開が完了すると、ESGデータの管理画面で最終公開日付、担当者および最新公開期間(以下の例では2023年12月のデータまでインポートされていることを表しています)を確認することが可能です。

野心的目標の設定と入力
Sustainability Control Towerの野心的目標のデータ入力方法を紹介します。野心的目標を設定するかどうかはメトリクス単位で設定可能で、野心的目標を有効にしたメトリクスに対してのみ野心的目標の設定が可能です。
- メトリクスの設定
データ管理および統合からメトリクスの管理を選択します。

該当のメトリクスを選択して、設定ボタンを押下して、野心的目標の設定を変更します(初期値は無効)。

設定を変更したら、保存ボタンを押下します。

- 野心的目標の設定
メトリクスの設定が完了したら、野心的目標の設定を行います。ステアリングから野心的目標を選択します。

野心的目標を追加ボタンを押下して、新規の野心的目標を追加します。

野心的目標を設定するメトリクスを選択して、達成の予想年や野心的目標を入力し、野心的目標を追加ボタンを押下します。

インサイトを使用した分析
ここまででマスタデータ、目標、実績および野心的目標をインポートしたので、インサイトを使用した分析を行います。メトリクス設定で以下の温室効果ガス(GHG)関連のメトリクスのみKPIタイルを有効化しているので、ホーム画面のインサイトでインポートしたデータが表示されています。
サンプルデータでは、スコープ別の目標データはなく、スコープ1~3の合計排出量の目標データのみだったため、合計値GHG排出量-ロケーションベースのみ目標と実績の差異が表示されています。詳細を分析づるために、KPIタイルを選択します。

野心的目標アプリに遷移し、詳細分析を行うことが可能です。この画面で目標と実績の差異および直近1年間のトレンドを確認することが可能です。

ドリルダウンボタンを押下することにより、さらに詳細な分析を行うことが可能です。以下の例では、アメリカ以外の地域は予定通り温室効果ガス(GHG)排出量は減少していますが、アメリカの温室効果ガス(GHG)の排出量が増加していることがわかります。

時間粒度の切り替え(月/四半期/年)は可能ですが、これより詳細な分析については、野心的目標の画面ではできません。実績については、GHGレコーディングアプリでより詳細な分析を行うことが可能です。
まとめ
温室効果ガス(GHG)排出量をサンプルにSAPが提供しているデータを利用してSustainability Control Towerへのデータインポートあるいはデータ入力、データ可視化の手順を紹介しました。本ブログを通じて、Sustainability Control Towerの基本的なアーキテクチャや手順の理解が深まったと思います。
SAPシステムからの直接連携やSAP Analytics Cloud、SAP Datasphereを使用した拡張も可能なプラットフォームとなっているので、Sustainability Control Towerを非財務情報データの利活用のプラットフォームとして利用するための第一歩となれば、幸いです。