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この記事はTakeru1masanobuと共同で執筆されています。

はじめに

企業のデジタルトランスフォーメーションを支える統合型ERPソリューションとして注目される。その柔軟性と拡張性を活用することで、業務効率化や精度向上が実現可能です。今回は、SAP S/4HANA Cloudにおける販売管理業務の自動化、効率化の実現例をご紹介します。

1.   Excelを活用した受注登録の自動化シナリオ

SAPではSAP Business Technology Platform(以降SAP BTP)と呼ばれる拡張開発基盤を提供しています。これを用いて、要件に応じた柔軟な機能を活用していただくことが可能です。

SAP BTPは会計領域や人事領域、生産領域など、どのビジネスケースにも活用可能ですが、当ブログでは営業業務に従事されている方からよく伺う要望についての活用例をご紹介します。

こちらの活用例では“営業担当者が得意先から注文をメールの添付ファイル(Excel)で受け取り、SAP S/4HANA Cloud に受注として登録するまで”のプロセスになります。

通常、メールで受け取った注文 (Excel) をSAP S/4HANA Cloud に受注として登録していく場合は、一度パソコンなどにファイルをダウンロードしたのち、マニュアルでExcelをSAP S/4HANA Cloud 内にインポートする必要があります。

SAP S/4HANA Cloud ではExcelファイルからの一括登録が標準でも可能であるため、1と業務が効率的になっていますが、例えば複数の得意先からのメールなどが来た場合その都度対応しなければならないなど、まだまだ業務の改善余地があります。

そこで、SAP BTPのRPA機能(以降SAP Build Process Automation)を活用することで更なる業務の効率化を実現します。 SAP BTPでは、 SAP Build Process Automation というサービスを利用して、RPA機能やワークフロー機能をノーコードで構築いただくことができます。

今回ご紹介するシナリオでは、次のようなステップで受注処理が行われます:

flow.png

 

①受注データの受け取り(担当者: 営業担当):

受注情報を含むExcelファイルをメールにて受け取ります。

②RPAによる受注データ登録(スケジューリングにより自動で開始):

SAP Build Process Automationがメールボックス内にあるExcelファイルを検知し、データを読み取ります。読み取られた受注情報が自動的にSAP S/4HANA Cloudにアップロードされ、受注登録が完了します。処理が完了すると、営業担当や上長などにメールが送信されます。

受注データの確認(営業担当者):
SAP S/4HANA Cloudに登録された受注伝票を確認します。

以上、SAP BTP を活用した受注登録の自動化シナリオをご紹介しました。
このプロセスの大きなポイントは SAP S/4HANA Cloud 上に受注データが登録されるまで人の手が一切加わらず、人的ミスの削減に繋がる点です。また、自動化により日々入るたくさん注文を迅速に捌けるようになり、更なる業務の効率化が図られます。さらに、データの一貫性が保たれるため、後続業務の信頼性も向上します。

2.   OCRを利用した受注登録の自動化シナリオ

前項ではメールに添付されたExcelファイルをRPA機能の活用により自動で受注登録するシナリオをご紹介しました。
しかし実際の業務では得意先ごとにExcelファイルだけでなく、PDFや紙などの非構造化データとして受け取っている方も多いのではないでしょうか。
実はSAP BTPではOCR(光学文字認識)技術を活用して受注情報を自動的に読み取り、SAP S/4HANA Cloudに登録することも可能になっております。このシナリオでは、紙の注文書やPDFファイルから受注データを抽出し、手作業による入力ミスを防ぎながら迅速にデータを処理します。当然メールで受け取った場合は前項でご紹介したSAP Build Process Automationを活用することによりメールの受信からSAP S/4HANA Cloud への受注登録までを人手を介さずに行うことも可能です。
これにより、業務効率が向上し、顧客対応のスピードも向上します。

 

以上がSAP S/4HANA Cloudにおける販売管理業務の自動化、効率化の実現例のご紹介となりました。

ところで、開発であればSAP BTPに限らず、どの開発基盤でもよいのではないかと思われた方もいらっしゃるかと思います。
SAP BTP上で開発するメリットの一つには、豊富な事前定義済みコンテンツを使用することで、一から開発する工数を削減し、なおかつ運用保守効率を高めて拡張開発を実現できる点が挙げられます。例えば SAP S/4HANA Cloudと SAP BTPの接続に関して事前定義済みコンテンツを使用することが可能です。

次項では、この事前定義済みコンテンツの例をご紹介します。

 

3.事前定義済みコンテンツを利用した機能拡張

SAP BTPはここまでご紹介してきたように拡張開発基盤としてご利用いただくことも可能ですが、その他にも SAP S/4HANA Cloud等のSAPのソリューションと合わせてお使いいただくことを前提に事前定義がされたコンテンツを活用して自動化や効率化を実現することも可能です。この事前定義済みコンテンツは、特定の業務シーンにおいて SAP S/4HANA Cloud 等のSAPソリューションと合わせてお使いいただけるようにあらかじめ設定がされているもので、テンプレートのコピーによってご利用いただけます。

makeuseofbtp.png

上図でいうと、先ほどご紹介した受注登録の自動化機能は左側の「使う」ことで実現する機能です。一方、拡張開発機能を活用して、右側のように業界や会社特有の機能を「作る」ことができます。

最後に、事前定義済みコンテンツについて、追加でいくつか例をご紹介します。

実際に提供しているコンテンツは販売領域だけでなく、購買領域や生産領域など、SAP S/4HANA Cloud の標準機能と合わせて使用できるものが複数の領域で数多く提供されています。

デモシナリオ一覧

購買・在庫管理シナリオ

  • 供給元一覧の一括更新

  • Excelからの在庫移動転記

販売管理シナリオ

  • 非構造化データからの受注の自動登録

生産管理シナリオ

  • 計画独立所要量の登録・更新

まとめ

SAP S/4HANA Cloudにおける受注処理自動化は、業務効率化と精度向上を両立する強力なツールです。これらのシナリオを導入することで、企業は受注処理における課題を解決し、デジタルトランスフォーメーションをさらに加速させることが期待されます。競争の激しい市場環境において、こうした自動化技術の活用は、持続的な成長と顧客満足度の向上に寄与します。