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SAP  S/4HANAへの移行に関する情報をお知らせするブログシリーズの第1回になります。なお、本ブログの内容は2024年2月の技術情報に基づくものであり、将来変更となる可能性があります。


何故、SAP S/4HANAへの移行が必要なのか?

SAPはインテリジェント・サステナブルエンタープライズを提唱しており、そのための包括的なソリューションとテクノロジーの製品群を提供しています。この中で企業内の業務連携を実現するビジネスアプリケーション群の基幹・コアとなるアプリケーションが、Cloud ERP すなわちSAP S/4HANA Cloudになります。SAPは2021年にRISE with SAP Business Transformation as a Serviceを発表いたしました。RISE with SAPのオファリングでは経営改革に必要な様々なサービスをバンドルし、お客様の状況または戦略に応じて最適な形でご利用いただけます。


 

移行の目的とSAP Signavio Process Insights, discovery edition (SPIDE)による現状分析 

全社的なトランスフォーメーションプロジェクト優先度の高い経営課題に焦点を当て改善効果を上げることを目指します経営課題の現状を理解するに当たって、現行ERPに蓄積された生データは重要なインプット情報となりますこのERPに蓄積されたデータを元にビジネスプロセスの課題状況を分析するツールがSAP Process Insightsです。今回は無償版であるSAP Signavio Process Insights, discovery edition (SPIDE)を中心に取り上げます。 

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SPIDESAP Signavio Process Insightsを限定項目で一回のみ無償で使えるものなっていおり、お客様の本番機から抽出したデータを元に、1つのプロセスフロー、54Process Performance指標61の修正推奨、800以上のイノベーション推奨を提示します*自動化に関するProcess Performance指標については業界のベンチマークと比較して、赤・黄色・緑の信号機でレーティングを行います。赤信号は業界他社と比較して数値が悪く、潜在的な課題があることを示します。 
*バージョンによって指標や推奨数は変動します 

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またSAP S/4HANA潜在課題に対してどのように役立つかの情報得ることができます例えば、債権処理の自動化率や在庫日数削減が課題として挙がった場合、その領域でのSAP S/4HANA関連の新機能の情報が提示されるため課題解決に効果のあるSAP S/4HANA関連機能確認することができます。 

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SPIDEのレポートにはPDFサマリとオンラインダッシュボードがあり、オンラインダッシュボードではより詳細情報が表示されます。

実行方法としてはお客様のERPシステムからデータを抽出した上で、SPIDEのサイトにデータをアップロードし、SAP側でレポートを生成する、という流れですが、詳しい手順は以下のサイトをご覧ください。 
SPIDEサイト>  Follow How To Guide 
大まかな手順としてはNote27581462745851の本番機への適用と取り出したデータZipファイルのSPIDEへのUploadが必要となります 

SPIDEは無償の1回限りの分析ですが、継続的にモニタリングをして詳細分析を行っていく場合には、製品版のProcess Insightsを活用いただけます。 


導入価値の試算

導入価値試算を行うValue Life Cycle Managerツールについて説明します。元々はアメリカのユーザグループがSAPソリューションの導入価値算定を簡易的に行う目的で、SAPソリューション導入による「KPIの改善値」の情報を収集していました。それをSAPが引継ぎ、ツール化したものがValue  Lifecycle Mangerです。サプライチェーン、財務等12の業務と35業界に区分して、640以上のKPIをカバーし、全世界 15,000 以上 のお客様の匿名データをデータベース化しています。

導入効果は「お客様財務データ」と「SAPがお客様から収集した導入効果実績データ」を元に、お客様システムの成熟度(Maturity Level)を考慮してKPI毎に算出します。


Value Lifecycle Managerは導入効果を試算するだけでなく、ベンチマーキングツールとしてお客様自身のオペレーションを業界平均値、業界トップ25%の平均値、業界ボトム25%の平均値との対比することができ、それを元に現在の自社ポジションを評価することができます。トランスフォメーションプロジェクトのはじめにフォーカスする経営課題を定義しますが、それがベンチマークから見て妥当なターゲットなのかどうか、再確認・検討する機会にもなります。
ここで自社の目指すべきポジションを再確認し、導入により目指すべき金額効果も算出するため、トランスフォーメーションプロジェクトのゴールがより明確になります。

SAPベンチマーキングプログラムについてはこちらのブログをご参照ください。

まとめ

トランスフォーメーションプロジェクトの目的を定義するには、
まず経営の優先課題定義を行ない、次にシステムデータからの現状課題分析 (Process Discovery)を行ない、さらに目指すべき金額的効果を明確化 (Value Lifecycle Manger)を行なう、という流れで進めることができます。検討に必要なツールはSAPソリューションご使用のお客様には無償提供されているものになりますので、是非ご活用いただき、トランスフォーメーションプロジェクトのゴール設定にお役立てください。

 

合わせて、以下のブログもご覧ください。

2回  移行オプションの選択とプロジェクトの進め方を知ろう

3回  SAP Readiness Checkとシステムコンバージョンのステップを知ろう

4   主に気を付けるべきSAP ERPとSAP S/4HANAの機能差とは?

5回  カスタムコード(アドオン)はどのように移行できるのか?

6回  SAPサービスによるSAP S/4HANA移行支援とは?

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