はじめに
SAP には SAP Activate という導入方法論があります。フェーズごとのタスクや成果物が定義されていて、それをサポートするための参考資料も提供されています。
→詳しくは
Roadmap Viewerへ
SAP S/4HANA Cloud 向け SAP Activate 方法論の Discovery(構想)フェーズにある、スコープを決めるタスクの内容が、いつのまにか、「ユーザがカードゲームをやる」というタスクになっていました。
ゲームやれって言われても、英語だし?
となったのですが、ゲームを紹介するブログに「このゲームを開発した背景」の説明がありました。
SAP S/4HANA BOARD GAME, virtual version release
従来のアプローチでは、顧客はパワーポイントに飽き飽きしており、集中できないため、最初の5分でプレゼンテーションへの興味を失い、セッションで提供された情報の25%以下しか覚えていません。
これはたしかに、同意しかない。
その状況を回避できるなら、素晴らしいのでは?
と思い、まずはやってみることにしました。
バーチャル版もあるのですが、SAPの方のファシリテートが英語になりそうなので、今回は物理版を社内のメンバと(架空の経理ユーザになり切ってもらって)実施しました。
ここでは、実施手順と、やってみてわかったこと、今後の展望を共有します。
この記事は
chillSAP 夏の自由研究2020 の記事として投稿しています。
どんなゲーム?
ゲームボードは、すごろく風。
(写ってるカードはペラペラかつガタガタですが、本番のときは厚紙に印刷して裁断機でカットします…)
Capability(機能)カードと、Value(価値)カードの組合せで、読み合わせていきます。
事前準備
- Roadmap Viewer のアクセラレータから、ファイルをダウンロードし、ゲームカードとボードを印刷する
- ゲームカードをカードサイズにカットする
- ユーザマニュアルを読み、ゲームのやり方を理解する
ゲームの進め方
ユーザマニュアルを読んでもやり方が100%理解できたわけではないのですが、今回はこれでやりました。
- ゲームの目的と進め方の共有(技術的なことを深堀するのではなく、ハイレベルのスコープ決めがゴール)
- Capabilityカードと Valueカードをそれぞれシャッフルして、全員に配る
- ゲームボードの順番に、該当するCapabilityカードを持っている人と、Valueカードを持っている人が、それぞれカードの内容を読み上げる(順番はサイコロを振っても、ランダムで進めても良い)
- 1分で話し合って「採用」「不採用」もしくは「保留」を決める(時間厳守。1分延長まで)
- 「採用」の場合は「今すぐ」「短期」「中期」「長期」のタイムラインを決める
- そのプロセスのオーナーとなるメンバーを決める(オプション)
- 機能名とオーナーをふせんに書き出し、イノベーションマップに貼る
- ポイントをプレーヤーの得点に追加する
- すべてのCapabilityに対して実施し終えるまで 3~8を繰り返す
実施結果
予定1時間半のところ、2時間かかって終了しました。
作成したイノベーションマップ
(中期は何もしないらしいです。)
イノベーションマップのイメージ図
得点表イメージ図
やってみてわかったこと
良い点
- 道具立てにゲーム感があり、わくわくする
- 参加者がカードを読み上げて、チームで相談して採用・不採用を決めるスタイルなので、当事者感がある
- これまで気づいていなかった機能や、他システムとの統合の可能性について知ることができる
- 機能がもたらす「価値」に着目するので、システム導入を前向きにとらえられる
- ゲームが終了すると、自然に成果物ができている
気になった点
- 英語なので、書いてあることを理解して情報共有するのは非常に疲れる。ユーザが参加してやるゲームであれば、日本語対応は必須。
- Capability カードと Scope Item がすべて事前にマッピングされているわけではないため、この結果だけでは Scope Item マッピングを確定できない。
→別途、Capability と Scope Item のマッピング表を用意する?
- 「固定資産管理」など、Scope Item的には確認が必要だが Capability としては用意されていない機能がある。
→上記のマッピングで、どこにも当てはまらなかった Scope Item の扱いをどうする?
- 「バリューマップ」「成熟度マップ」「潜在的な経済的価値の計算機」といった成果物は詳細が確認できなかったため、今回は作成していない。
→ S/4HANA Cloud extended edition 向けの Activate には情報がある。財務以外のLoBも実施して入力しないと、トータルでの価値はでなさそう。
- ボードに書いてある順番で進める場合、似たような機能がグルーピングされているので、理解するのに効率は良い。ただ、あまり実感のわかない機能が続くと「…」という空気感になる。
→サイコロでランダムに進めた方がゲーム感が出て良いかもしれない。
- ゲームの進め方に関して「これで良いのか…?」という不安がある。
今後のアクション
ゲーム紹介ブログのコメント欄を見ると、「スペイン語版でやりたい」といった活動があるようなので、「日本語版でやりたい」という連絡をして、まずは打合せ予定となっています。進展あればまた共有させていただきます。
やってみたことで、日本語版の必要性も改めて感じたし、翻訳は大変そうだなと思いました…