"新しいインダストリーがインドから生まれる”
CO2 削減からサステナビリティのインダストリーが生まれたように、ここインドからソーシャル・エンタープライズという新しいインダストリーが生まれようとしています。アフリカでもなく、フィリピン、ブラジル、中国でもなく、ここインドからです。イギリス植民地の歴史、英語でビジネスができる、膨大な人口とその環境がそろっています。社会的企業 - Wikipedia
アイディアを持っている起業家の卵、それをサポートするインキュベーター、ソーシャル業界専門のコンサル会社まで、かつてのITバブルのように次々と新しいソーシャル企業が生まれています。
我々のプロジェクトのクライアントはこの業界のソーシャル・インキュベーターで、アンリミテッド・インディアという社員16名のNPOです。CEOのPooja さんは TEDTalk でスピーチする有名な方でこの業界の草分け的存在です。多くのメディアにも取り上げられています。4min video.
写真はSAPプロジェクトチーム(カナダ、アメリカ、日本の3人)と Pooja さん。
今回の我々のミッションは、このインキュベーターがさらに成長するための、ソーシャル・インパクト指標を提案することです。ソーシャル業界初めてのSAP3人が、4週間で業界、プロセス、ギャップを理解し、10年以上のベテランに提案するといういかにもチャレンジングなミッションです。
"どうやって大きな社会的問題を解決するか? Theory of Change”
社会的問題は1か月で解決するものではありません。10年、20年と長い時間をかけて解決していかなければならず、明確なビジョン、継続する仕組み、スケールアウトする仕組み、長い道のりの進捗をトラックするなど、通常のITプロジェクトとはスケールの違う要素が数多くあります。このソーシャル業界で使われている手法が Theory of Thenge です。直接的な活動だけでは、ゴールにたどりつけず、活動が次の活動を呼び起こすような、長い時間軸をとらえた考え方です。
Theory of Change の4分おすすめビデオです。Video: (4 min) https://vimeo.com/88053672
1. ビジョン定義、最終的なゴールを決める
2. 現時点の問題を認識する
3. 活動をブレークダウンし実施する (INPUT)
4. 活動の結果をモニタする (OUTPUT)
5. その結果が次の活動を呼び起こし、スケールアウトする (OUTCOME)
6. そのインパクトをモニタする (IMPACT)
7. 最終的にゴールに達成する
"大きな仕組みから理解していく”
最初の1週間はひたすら話を聞いて、ソーシャル業界とプロセスの理解に努めました。大きな仕組みはこうです。
利益を求める企業は、卵が羽化する最終段階で資金提供をします。インドの企業はこの段階からのサポートが多いのですが、成熟した社会のイギリス、アメリカでは利益ではなく、社会的問題を解決するのがメインであるため、卵が産まれようとする早い段階から資金提供をします。早い段階からサポートすれば、羽化する確率は高くなり、結果、社会的問題を解決する時間軸を短くできます。今後、日本企業も、イギリス、アメリカのようにもっとソーシャル分野に資金提供するようになっていくと思います。
"チャレンジ”
この仕組みの中で、Funder は自分の資金提供がどう社会にインパクトを与えているかを数値で判断する必要があります。今回の我々のミッションはこのインパクト指標です。例えば、1日20円で暮らしている1000家族のうち、起業家の活動(製品、サービス)で600家族が1日100円の生活ができるようになったというような数値です。
"若いソーシャル起業家が増えている”
医者や弁護士になりたいというのは昔の話で、現代の若者がソーシャル起業家またはソーシャル・エンタープライズ業界で働くというのがトレンドでクールとう状況です。主にイギリス、アメリカの優秀な若者がこのインドで現地の若者と一緒に働いています。共通しているのは、強いビジョンを持っていて、熱く語る、話がうまくて、かつ長く、何時間でも語ってくれる人が多いです。図やチャートを使って話をしてくれる人はごくわずかでした。
次回は、様々なプロジェクトの紹介をしていきます。